鶴屋山登山記-その2-SOS団が登ったジグザグの道
「こっちから登るのが楽みたいよ」
(中略)
今ハルヒが目指している山の麓からは、頂上へ至るジグザグ状の細い道がてっぺんまで続いている。*1
ここですか。
「涼宮ハルヒの陰謀」で登場する「鶴屋山」のモデルと思われる西宮市の甲山を紹介する企画の第2回です。1回目はこちら。今回は229〜233ページでSOS団が登ったと思われる登山道を紹介いたします。
- 駅前ロータリーのバス乗り場
SOS団は鶴屋山に登る前に、まず226ページで駅前に集合します。この駅前の集合場所はそれまでに繰り返し登場しており、そのモデルが阪急西宮北口駅北西の甲風園であることが各所での検証から明らかになっています。ということは
ハルヒが向かったのは駅前ロータリーのバス乗り場である。
この「駅前ロータリーのバス乗り場」は西宮北口駅のロータリーがモデルと考えるべきでしょう。ロータリーは北西と南の2箇所にありますが、近距離のバスが発着するのは
南側のロータリーです。
阪急バス3番の乗り場から出る31系統の「五ヶ池」行きが甲山の麓を通ります。SOS団が229ページで載ったバスは、この路線がモデルでしょう。この路線は「北高」の最寄バス亭である「柏堂町」も通るので舞台探訪にも便利です。(甲山に行くバスはこの他に、阪神西ノ宮発の阪神バスもあります。)
ちなみに「涼宮ハルヒの溜息」101ページでSOS団が乗るのも同じ場所、同じ路線と考えられます。
- 山の麓のバス亭
三十分ほど揺られただろうか。ハルヒに促されてバスを降りたのは、駅前の喧騒が嘘のような自然のまっただ中だった。
このSOS団が降りるバス亭のモデルは候補が2つあります。1つ目は甲山の北東にある「関学道」。
見事に「自然のまっただ中」にあります。バス亭以外なにもありません。バスの運転手以外、この山中にバス亭があることに気付くでしょうか。ここで降りた場合、甲山へ登るにはバス亭から南に移動して
この登山道入口から登ることになるのですが、これがまた非常に分かりにくくて地元の人でないと迷いそうです。また、「涼宮ハルヒの溜息」101ページでSOS団がバスを降りるのも同じ場所の可能性があります。
SOS団が降りるバス亭の2つ目の候補は「甲山大師前」です。
こちらは「自然のまっただ中」ではないのですが、甲山を仰ぎ見ることができるので絵になります。
- ちょっと脱線-キョンと古泉が登った石段
ちょっと脱線しますが「甲山大師前」バス亭から甲山登山道入口までは「涼宮ハルヒの溜息」203ページでキョンと古泉が歩いた場所のモデルだと思われます。
車外の風景は徐々に緑が多くなってきた。蛇行した山道をタクシーは駆け上がっている。すぐに解る。昨日はバスで辿った山へ続く道だった。
やがて停車したのは、がら空きの駐車場。神社の参拝客専用だ。
この駐車場は
「甲山大師前」バス亭にある神呪寺の駐車場がモデルでしょう。神呪寺の名誉のため言っておきますと、いつもがら空きな訳ではありません。むしろ結構混んでいます。
角石を積み重ねて作られた階段を上がっていく。これも昨日来た道だ。
この「角石を積み重ねて作られた階段」は
神呪寺の参道のことでしょう。
ここを上がると鳥居があって、
一応鳥居もあります。神呪寺は神社ではなくお寺なので、おまけのようなこの小さな鳥居をモデルにしたかどうかは微妙ですが。そして、この鳥居をくぐった先に登山道の入り口があります。
- ジグザグの道
「こっちから登るのが楽みたいよ」
ハルヒが地図を手にして先頭を切っている。俺は鶴屋山――と言っているが本当の名前は知らない。いいだろ別に鶴屋山で――の頂上を見上げながら白い息を吐いた。
一昨日、俺と朝比奈さんが登ったのとは違い、ちょうど山の反対側だ。どっちが裏道かと言えば、どうやら前回のものが裏道に相当していたらしいな。今ハルヒが目指している山の麓からは、頂上へ至るジグザグ状の細い道がてっぺんまで続いている。なるほど、こっちからなら割と容易に登頂できるってわけか。
「一昨日、俺と朝比奈さんが登った」のが西(左)のまっすぐな道と考えられます。「ジグザグ状の」は南東(右下)の道でしょう。北東(右上)にもジグザグの道がありますが、
-
- 南東側の登山道の方がよりしっかり「ジグザグ」している。
- 南東側登山道は途中で見晴らしの良いところがある。そしてそこしか作中のように見晴らしの良いところはない。
ことから南東側がSOS団が登った道のモデルだと考えます。では早速登ってみましょう。
ここが登り始める地点です。ここまでも石段をだいぶ登ってきている訳ですが、「登山道」はここからが始まりです。
……
…………
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登山道はなるべく登頂者に負担をかけなように作られたもののようで、急勾配を意識することなく歩いているうちに
嘘つけぇ!!
西側登山道ほど急ではありませんし、危険なところもありませんが、こちらの道も階段が続いていることから分かるようにかなりな勾配があります。
と言いますか、山林に挟まれた階段という変わり映えのしない光景が延々と続くので精神的なダメージが溜まって行くのですが……と思っていると八合目あたりで突然視界が開けます。
「ふふ、いい天気ですね、今日。それにいい眺め……」
木の実のような目が遠くのほうに向けられている。南向きの、山から下界を見下ろす方向だ。遥か彼方に俺たちの街が薄ぼんやりと広がり、さらに向こうには海が見える。
見えます。海が。キョンと朝比奈みくるが歩いた川沿いの並木道が。涼宮ハルヒの母校が。長門有希のマ●ションが。考えてみれば、ハルヒの舞台からは大抵この山を見ることができるので、反対にこの山からハルヒの舞台の多くを見ることができるのも当然なのですが、いや、この眺望はハルヒの聖地巡礼の際には絶対に見ておくべきです。
視界が開けている場所は20〜30メートルほどで終わり、また登山道の両側の視界は山林に閉ざされます。さらに階段をのぼること数分。頂上が見えてきます。
- 次回予告
今回はここまで。次回はキョンと古泉がほじくり返した山頂等を紹介いたします。
*1:この文章、「頂上へ至る」と「てっぺんまで」が重複しています。