軽小説とは

砂の城 (新潮文庫)

砂の城 (新潮文庫)

 長編小説『砂の城』は昭和五十年八月から一年間、雑誌「主婦の友」に連載され、完結後すぐ(昭和五十一年九月)、主婦の友社から単行本として出された。小説としては『おバカさん』『ヘチマくん』『わたしが・棄てた・女』『どっこいしょ』『ただいま浪人』など、いわゆる軽小説群に属する作品で青春小説といっていいものである。
(中略)
 遠藤氏は硬小説(『沈黙』などの純文学)で鮮明にキリスト教信仰を示すが、軽小説ではそのような主題はほとんどあらわれてこない。
(中略)
 軽小説は遠藤氏の場合、大抵が青春小説の形をとっている。


武田友寿「遠藤周作砂の城』」の解説より