ライトノベルは二次創作イラストのための資料が少ない

考えてみると、ライトノベルとイラストサイトって相性がいいはずなんですよね。ラノベの挿絵を描いている絵師は、たいていサイト持ちで、ネットで活動してるような人たちでしょう。それに、人口的にはエロゲーマーよりラノベ読みの方が多いはずですし。なのにどうしてラノベ系イラストサイトは少ないんでしょうか。わたし、気になります

まあ、アニメ化された作品のイラストは増えますけどね。いまなら『狼と香辛料』のイラストが増殖しつつありますが。でもそれは「ラノベを読んで描いた」というよりは「アニメを観て描いた」ものなわけで。


ラノベ読みのイラストサイトが少ないのは何でなんだぜ? - ウィンドバード::Recreation

 理由はいくつか考えられます。例えば「時間がない」とか。

 しかし時間が無いことに関してはラノベファンもアニメファンもコミックファンもエロゲファンも平等です(でしょう、多分)。個人的には、ライトノベルの二次創作イラストを描くときに他メディアよりも課題になっているのは「使える資料が少ないこと」ではないかと思います。

 私自身、ライトノベルのイラストをそれなりに描いていますが、そのための資料を集めるには毎回苦労します。読むだけならば問題なくても、自分でキャラクター造形を理解して、さらにそれを自分なりに出力して他人に説明するとなるともっと色々な情報が必要なのです。

 そのキャラクターの顔かたち、各種表情、服装などが、各方向からどう見えるのか。原作のイラストをトレースしたり、原作と全く同じ構図で描くのならともかく、半ば自分のものとして二次創作イラストを描くためにはそうした情報が必要です。

 コミックならば、単行本1冊あればその中にキャラクターの喜怒哀楽、ほとんどの表情が描かれています。また、ほぼどの方向からの顔・服装も描かれています。アニメ作品ならば、アニメ映像そのものを資料にできるし、発表時に専門誌を買ってくれば主要キャラの設定資料が載っています。エロゲはどうなんでしょう……、正面からの立ち絵ぐらいしかないゲームもあるようですが……でも少なくとも表情の資料だけには困らないと思います。

 けれども、多くのライトノベルにはそうした資料がありません。いくら「ライトノベルにはアニメ・コミック調のキャラクターイラストがふんだんに使われている」と言われても、それはライトノベルでない小説と比較した場合です。口絵がコミック形式になっていればラッキーですが、そうでない場合、表紙・口絵・挿絵を合わせても1巻あたり主人公で4〜5枚、脇役では1〜2枚のイラストしかありません。当然、表情や構図も限られています。イラスト情報量ではライトノベルはコミックやアニメとは比べ物にならないのです。

 ライトノベルでも多くの場合、コミックやアニメと同じように最初に設定資料が作られ、それに基づいて個々のイラストが描かれているようです。しかしそれをファンが参照できるのは、ヒット作になってから雑誌等で公開されたり、イラストレーターさんがサイトや同人誌で紹介する場合に限られます。専門誌でほぼ確実に設定資料が入手できるアニメ作品や、設定資料が無くても作品本体の情報でほぼ補えるコミックと比べると、ライトノベルのイラスト二次創作はスタートラインの段階で不利です。

 読むだけならば、映像情報の足りない部分をこれまで見てきたアニメ・コミックを元に補完するだけで問題ない(実際、多くのラノベ読みの人はそうやってキャラクターをイメージして読んでいると思います)のですが、二次創作で描くとなるとそう簡単にはいかない、というのが、自分でライトノベルのイラストを描いてきた際の実感です。