ライトノベルの部数についていろいろメモ

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 あざの耕平さんの富士見ミステリー文庫刊「Dクラッカーズ」の部数は2004年7月に富士見の公式情報が出ています。

Dクラッカーズ全10冊!
全てはココから始まった!
口コミで50万部突破!


あざの耕平BLACK BLOOD BROTHERS 1」帯より。

電撃文庫」発行の人気作品は3位「フォーチュン・クエスト」(深沢美潮著)、2位「ブギーポップは笑わない」(上遠野(かどの)浩平著)、1位「キノの旅」(時雨沢恵一著)で、いずれもシリーズ合計200万部以上の売れ行きを記録している。


渋谷経済新聞-【ティーンズラボ】2004-04-23 活字パワーに惹かれ始めたティーンたち 書き手志向の高まる10代と文学の関係
http://www.shibukei.com/special/17/

 深沢美潮さんの「フォーチュン・クエスト」シリーズは元々角川スニーカー文庫で刊行されていましたが、角川騒動のためにスニーカーと電撃文庫で並行してシリーズが進むようになり、後に全て電撃文庫に移っています。

 2004年4月には既にスニーカー版は電撃文庫から再版されていましたが、再版分がそれほど売れたとは思えないので、引用中の「200万部以上」は本編第2部1〜9巻、外伝3巻、L1〜3巻の計13巻分のことと捉えて良いのではないかと考えます。

 ちなみにスニーカー文庫版のデータは見つかりませんが、個人的な感覚では200〜300万部は売れていたのではないかと思います。

  • 電撃と角川の売り方と部数

中でも男性読者を中心に市場をリードする「電撃文庫」の編集長、鈴木さんに話を聞いた。
(中略)
ライトノベル市場全体で発行される年間冊数は、約1,500万部(鈴木さん)。ちなみに「電撃文庫」は新刊のみ、重版を除いて年間510万部を発行している。この業界では初版でも2〜3万部を刊行し、人気が出たら重版するというパターンが定番で、5万部売れたらスマッシュヒット、10万部売れたらビッグヒットと言われている。シリーズ化しているものの場合は総計で50万部、100万部で大ヒット。


渋谷経済新聞-【ティーンズラボ】2004-04-23 活字パワーに惹かれ始めたティーンたち 書き手志向の高まる10代と文学の関係
http://www.shibukei.com/special/17/

 ここでいう年間とは2003年のことでしょう。また「約1,500万部」の中には後述のルビー文庫は含まれていない可能性が高いです。

ライトノベルというのは、一般文芸のように初版でいきなり10万部刷るような利益の落とし方ではありません。新人の新作は初版が2万部くらいで始まるものが多いですが、それがヒットして、その作家が続編を年に数冊書けば、シリーズトータルでは100万、200万部という数字も夢ではありません。
(中略)

 発行部数も年々増えてきており、2004年度の当事業部の文庫の実売部数は800万部です。4年前は500万部ぐらいですので、非常に伸びていると思います。3年前に創刊した少女向けレーベル"ビーンズ文庫"も大成功し、スニーカー文庫に迫る勢いです。


ライトノベル完全読本Vol.2」収録「角川書店ライトノベル戦略」208ページ(角川書店アニメ・コミック事業部取締役井上伸一郎氏のインタビュー)

 井上伸一郎さんというと私は「アニメック」の副編というイメージがあるのですが、今や角川の重役なのですね。なおこのインタビューなどによると

で、2000年の「500万部」はルビー文庫スニーカー文庫ティーンズルビー文庫を合わせた数字、2004年の「800万部」はビーンズ文庫も合わせた数字と捉えるのが妥当だと考えられます。

 しかしメディアワークス(電撃)にしても角川書店アニメ・コミック事業部(スニーカー・ビーンズ・ルビー)にしても「売る方としてはシリーズ化してなんぼですよ」ということなのでしょうね。恐らく他のレーベルでも考えていることは同じではないでしょうか。