「学校を出よう!」の舞台モデル候補地をいくつか
谷川流さんの「学校を出よう!」シリーズの舞台のモデルとなったと推定される場所の紹介です。
- 関連
- 駅前の喫茶店
業務用クーラーの送風口が真上にあるせいか、七海は落ち着かない寒さを感じていた。
駅前にある、コーヒー豆の種類の豊富さを売りにした喫茶店の中である。七海をここにい誘って入った少年は、二人掛けの向かいの席から柔らかい微笑を彼に向け続けていた。
この喫茶店は「涼宮ハルヒの憂鬱」のTVアニメ版にも登場した、谷川流さんの行きつけの喫茶店、西宮北口の「ドリーム」をイメージしたものでありましょう。
実際に入ってみましたがコーヒー豆の種類は沢山ありましたし、二人掛けの向かい合わせの席もありました。まぁ喫茶店ならばどこでもそうじゃないかという話もあるのですが。今度行ったときに、二人掛けの席の上に送風口がないか見てみます。
- カニの看板
それは全国的に有名なカニ料理のチェーン店で、軒先にでっかいタカアシガニの模型を飾っていることでも知られているアレだ。どうもそのカニが独立して飲屋街を散歩したらしい。
これはまず間違いなく「かに道楽」をモデルにしているでしょう。かに道楽の看板はタカアシガニではなくズワイガニですけれども、瑣末なことです。「かに道楽」のチェーン店はそこかしこにあるのですが、折角ですので大阪ミナミは道頓堀の本店の看板を撮ってきました。
- 倒壊した橋
それは市町村の区切りにちょうど良さそうな、底は浅いが幅だけはそこそこある中州だらけの川だった。
「ふーん」とか思った。
その橋は車が二台も並んだらドラミラーをぶつけ合いそうになるくらいの規模のもので、市道というより私道っぽく見えるチャチなシロモノだった。
真ん中からめくれ上がるように倒壊している。十メートルほど幅のある川で、橋が残っているのは両岸から二メートル程度か。(中略)
川の両岸にしつらえられた並木道に植えられた桜の木々は、もう少し季節が早ければ絶好の花見場所として陣取り合戦が繰り広げられたことだろうが、今は蓑虫が絶好とする住処でしかない。
高崎兄妹が見るこの橋は、夙川に掛かる大井手橋、
苦楽園口橋、
のどちらかをモデルにしていると考えています。大井手橋は作中の描写が極めて良く当てはまります。また苦楽園口橋も「車が二台も並んだらドラミラーをぶつけ合いそうになる」というところを除けば当てはまります。
また作中では橋が倒壊している訳ですが、大井手橋、苦楽園口橋とも阪神・淡路大震災で被害を受けて架け直されているところも見逃せません。谷川流さんはこれらの橋が壊れていた様子を見ていたのではないでしょうか? なお、現在の苦楽園口橋はセンターラインがありますが、震災前は「車が二台も並んだらドラミラーをぶつけ合いそうになる」ような橋だったそうです。
下流に向かって僕は優弥と肩を並べ、駅前へと歩いていた。綺麗に並んだ石畳の桜並木は、休日にでもなれば格好のデートコースとして情報誌に掲載されそうな雰囲気だ
この川沿いの桜並木には、「涼宮ハルヒ」シリーズにもしばしば登場する夙川公園が当てはまります。
- 黄色を点滅させる信号
真っ昼間ということもあるのだろうが、バスの乗客は僕一人、プチ貸し切り状態だった。市営でなければ即刻廃線処理されてそうな客の少なさである。
乗り込んで三十分、幾つかの停留所を経由したがバス待ち顔の利用客は皆無で、信号も黄色を虚しく点滅させるだけの一本道をノンストップで走り抜け、ようやくバスが乗客第二号を乗せたのは緑多き大自然から相当離れて市街地の端っこに到達したあたりだった。
高崎兄妹が見た橋が夙川に架かっているとした場合、その直前に乗ったバスは県道82号線を北方の山側から降りてくるものだと考えると、現実とよく合致します。ただし走っているバスは市営ではなく阪急と阪神です。
「黄色を虚しく点滅させるだけ」の信号は県道82号線の北山緑化植物園前にあります。
地図をご覧になると分かると思いますが、この信号は「涼宮ハルヒ」の主要な舞台であり、恐らくは谷川流さんの母校である西宮北高からほど近いところにあります。
信号の下にバス停が写っています。このバス亭は「柏堂町」と言い、北高最寄のバス亭です。谷川流さんが少なからず使っていた可能性が高いです。ということは、谷川流さんが北高在学時にこの信号が既にあったならば、黄色が点滅する信号を谷川流さんは見ていたでしょう。ちなみに信号は北山緑化植物園の来園者が渡るためのものなので押しボタン式です。植物園は1982年開園で、信号も開園時に設置された可能性が高いです。
県道を北側から来た場合、長い間信号がないために、この「北山緑化植物園前」の手前には「信号機あり」の黄色が点滅する信号もありました。