日日日さんは壊れた親子関係をそれでも描く

アンダカの怪造学」には主人公伊依の父・滅作だけでなく母・秘依も登場します。初登場は3巻90ページあたり。

 といっても秘依ももう壊れていて、やがて別居か死別かしてしまう訳ですが。日日日さん作品の場合、親子関係を描かないのではなくて、壊れている親子関係をそれでも描いている、という感じではないでしょうか。

蟲と眼球とテディベア (MF文庫J)

蟲と眼球とテディベア (MF文庫J)

 グリコは家族から見捨てられていて、その家族ももう多分死んでいる。その後で作りものめいた義父と義母がつく。

狂乱家族日記壱さつめ (ファミ通文庫)

狂乱家族日記壱さつめ (ファミ通文庫)

 凰火*1は孤児同然。しかしそこから寄せ集めた家族でドタバタな家庭を作っていく。

 そういえばデビュー作の「ちーちゃん」

ちーちゃんは悠久の向こう (新風舎文庫)

ちーちゃんは悠久の向こう (新風舎文庫)

でも思いっきり壊れた家庭を描いていました。その一方で「私の優しくない先輩
私の優しくない先輩

私の優しくない先輩

ではかなりまともな両親が登場する訳ですが。出版社が倒産して絶版だけど。

 最後に今読んでる本からこんな引用を。

 むう。うざい。
 幼児虐待だの冷たい家庭だの新聞や雑誌が家族という仕組みの崩壊を嘆くなか、こんなかんじにうちの両親はいつでも愛情が過剰だ。


日日日蟲と眼球とダメージヘア」25ページ

*1:ところで今気付いたのですが、「狂乱」は、1巻だけ表紙の「凰火」の字が「鳳火」になっていますね。