重量25kgのチョコの棍棒を検証する-チョコレート殺人事件「甘き死よ」より
月子は自分を捨てて伯爵令嬢と結婚することとなった元恋人が背中を向けた瞬間に隠し持った重量二十五キログラムのチョコの棍棒で彼の後頭部を殴打して殺した後棍棒を分割して毎日食べ続け捜査に来た刑事にもホットチョコレートをふるまうなど証拠隠滅に励んだ結果証拠不十分で不起訴処分となった。
この話のインパクトはなんといっても重量25kgのチョコの棍棒だと思うのですが、本当にこんなことが可能なのでしょうか。ちょっと調べてみました。
- チョコレートの密度
まず重量25kgのチョコレートというのはどれほどの大きさなのか。これはチョコの密度が分かれば計算できます。ところが「チョコレート」「密度」でGoogleると
- 作者: 崎谷はるひ,ねこ田米蔵
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2007/02/01
- メディア: 文庫
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- 25kgのチョコの棍棒を隠し持つ
さて、月子女史は25kgのチョコの棍棒を隠し持っていました。「棍棒」というからにはやはり棒状の長い形状だったのでしょう。しかしあまりに長かったり、太かったりすると隠し持てません。とはいうものの25kgのチョコの棍棒は20リットルの体積があるので、断面が10cm×10cmだとすると長さ200cmです。月子女史が大柄だったとしても、これを単純に隠し持つのは難しそうです。
ここで現実的に考えられるのが、「月子女史は何かの入れ物にチョコの棍棒を隠していた」という方法でしょう。たとえばコントラバスや和弓には長さ200cmを越えるものがあります。月子女史がコントラバス奏者や和弓の競技者であればこれらを入れる入れ物を担いでいたとしてもさほど不自然ではないでしょう。そしてその入れ物の中身は楽器や弓ではなく25kgのチョコの棍棒だったのです。
しかしさすがに殺害現場に空のコントラバスのケースが残されているのは不自然であり、刑事の目にも留まるでしょうから、ここは折りたためる「和弓の袋」説を採りたいと思います。
- チョコの棍棒で殴殺
次なる課題は、果たしてチョコレートのような脆い材質の棍棒で人を殴打して殺害できるかどうかです。そもそも自重に耐えうるかどうかすら危うそうなチョコレートの棍棒で、頑丈な人の頭蓋に致命的なダメージを与えることができるのか。振り下ろし接触した瞬間、チョコの棍棒の位置エネルギーおよび運動エネルギーは棍棒自体の破壊に作用してしまい、元恋人の後頭部にはほとんど伝わらないと考えられます。
しかし解決策は無くはありません。それはチョコの棍棒を元恋人の後頭部へと重力落下方向に突き立てる方法です。こうすればたとえ運動エネルギーが棍棒自体の破壊によって吸収されても、位置エネルギーはなんとか元恋人の後頭部へと掛けられるはずです。さらに月子女史の体重を乗せることもできるでしょう。
- 結論
以上より私は次のように推測します。
月子女史は元恋人が背中を向けた瞬間、やおら和弓の袋に隠し持っていた長さ200cmものチョコの棍棒を取り出して天高く跳躍し、元恋人の真上から後頭部へチョコの棍棒を突き立てたのです。
……本当かよ。