現代の学園を舞台にした作品は、世代交代の続編を書くのが難しい

 1980年代後半から1990年代前半のライトノベルのファンタジースペースオペラを思いだすと、やけに主人公の子供が続編の主人公になっている物語が多かったように思います。例えば下の表のような作品。「ロードス島」や「デュアン・サーク」/「フォーチュン・クエスト」もその変形と言って良いでしょう。このようなパターンは、ライトノベルに限らず世間一般のファンタジースペオペにも見られます。親の冒険を子供がなぞる。結構王道だと思います。

元の作品 続編 両作の主人公の関係
魔群惑星 精霊王国 親子
魔獣戦士ルナ・ヴァルガー 魔獣戦記ネオ・ヴァルガー 親子
ダンシィング・ウィズ・ザ・デビルス ダンシングウィスパーズ 先祖と子孫
宇宙一の無責任男シリーズ 無責任キッズ
(無責任カルテット、無責任三国志)
親子(とその子孫)
ルナル・サーガ ルナル・ジェネレーション 親子
風の歌、星の道 新・風の歌、星の道 元の作品の主人公の子供が続編の重要人物
ロードス島戦記 ロードス島戦記 元の作品の重要人物の子供が続編の重要人物
デュアン・サーク*1 フォーチュン・クエスト 元の作品の重要人物の子孫が続編の重要人物
アリソン リリアとトレイズ 親子

 ところがライトノベルでは、1990年代終わり以降に現代の学園を舞台にした作品が主流となると、このような続編の作られ方は激減してしまいます。最近のヒット作では「アリソン」と「リリアとトレイズ」くらいではないでしょうか。

 容易に想像がつきますが、「現代の学園」を舞台にすると、主人公の子供を新たな主人公にした続編というのはなかなか作るのが難しいのでしょう。「現代」から時間を動かせないですから。川上稔さんの諸作のように同一世界観の中で擬似的な「現代」を使うという手もありますけれども。

  • 追記

 捉え方が逆かも知れませんね。世代交代が期待されなくなった、キャラクターの成長が絶対視されなくなった(「キャラ/キャラクター」の概念で言えば「キャラ」が見直されるようになった)ことで、現代の学園を舞台にした作品が主流になりえたと考えるべきかも知れません。いや、この考え方も、もう古臭いかな。

*1:発表されたのは「フォーチュン・クエスト」が先ですが、「デュアン・サーク」の構想が先にあったとのこと