ノンシリーズ短編集を増やす方法は、なくはない

 ライトノベルにノンシリーズ短編集が少ないという話題があちこちで取り上げられているので、電撃hpでノンシリーズ短編を2作以上発表されている作家さんとその作品をリストアップしてみました。(全部読んで内容をチェックしている訳ではないので、シリーズものも含まれているかも知れません。汗)

 (元データ:電撃hp掲載作家&作品一覧

  • 阿智太郎さん
    • 12月のアルバイト →電撃文庫「おちゃらか駅前劇場」収録
    • 僕は生臭い殺し屋 →電撃文庫「おちゃらか駅前劇場」収録
    • 七夕にお願い →電撃文庫「おちゃらか駅前劇場」収録
    • 僕は角のない鬼
    • ボクのオバケ日記
    • ドララキュータ
    • タコポン
  • 有沢まみずさん
    • 万年すだれ禿係長小保多喜八郎の冒険
    • Grow me
    • NICE GAY
    • SMOKING CHAIN
  • 壁井ユカコさん
    • カスタムチャイルド →後に長編化。電撃文庫「カスタム・チャイルド」
    • ハルカワくんと人体模型
  • 鎌池和馬さん
    • 殺人妃/殺人器(シリーズもの?)
    • 謎のその先に
  • 川上稔さん
    • 逢えば変する奴ら
    • コガレ
  • 祭紀りゅーじさん
    • M・想う男
    • げんぱこ
    • ボクは召喚獣
  • 佐藤ケイさん
    • 夜の犬
    • ロボット妹 →後に長編化。電撃文庫「ロボット妹」
    • MW学園の崩壊
  • 時雨沢恵一さん
    • おはよう
    • 抹殺者
    • MW号専用掲示板「ウィー・アー・オン・ボード!」
  • 鈴木鈴さん
    • ネコの風景
    • 邸園 His Garden
  • 成田良悟さん
    • 蟻塚と500人の海賊
    • としれじぇ →後に電撃文庫「世界の中心、針山さん」にシリーズの一編として収録
    • Dr.ナヴェルの小説講座
    • 卆形式 〜マヨイガハレルヒ〜
    • クランクはいつもアップアップ
  • 深沢美潮さん
    • わたしとロボットとの関係 →電撃文庫「TETORA」収録
    • マイタウン
    • TETORA →電撃文庫「TETORA」収録
    • A to Z Tale(シリーズ名はあるが内容はノンシリーズ連作短編)
    • ファントムファーザー →電撃文庫「TETORA」収録
  • 三上延さん
    • Falling
    • M/W・二枚のメダル
  • 渡瀬草一郎さん
    • 残酷劇の夜
    • まじょるか。
    • カガミのムコウ

 この他に1作しか発表されていない作家さんもいらっしゃいますので、ノンシリーズ短編自体は決して少なくはありません。それに電撃hp誌上では短編によるコラボレーション企画も盛んに行なわれていて、必ずしもノンシリーズ短編を発表しづらいという状況ではないのですよね。

 ところが、そこから文庫になったのは「おちゃらか駅前劇場」「TETORA」「ある日、爆弾がおちてきて」の3点のみです。書き下ろしノンシリーズ短編集もあるでしょうが、それを含めても、同じ期間(電撃hpが創刊された1998年以降)に刊行された電撃文庫700点以上のうちの1%あるかないかでしょう。ちょっとさびしい現状ですね。

 けれども雑誌にノンシリーズ短編が出ているという事は、出版社・編集者側もそれが全くビジネスになり得ないとは考えていないということですよね。であれば、実はノンシリーズ短編集を増やす方法はなくはないのです。出版社に儲かると思わせればいいのですから。具体的には

  • 雑誌にノンシリーズ短編が載ったら「面白かった!この作者の別の短編も読みたい!」と読者アンケートはがきをだす。
  • ノンシリーズ短編集が単行本で出たら買う。
  • さらに「面白かった!この作者の別の短編も読みたい!」と単行本の読者アンケートはがきを出す。

 「そんなの無駄だよ〜」と思われるかも知れませんが、少なくともマイナスにはならないですよ。そうでなければライトノベルの雑誌・単行本にアンケートはがきが付いている訳がありません。それに1人1人では効果が小さくても組織票…といったら語弊があるかも知れませんが沢山の人が力を合わせれば出版社・編集者側を少しは動かすことができるはずです。買う側がお金を出せば…そこにお金が絡んでくるのは商業作品なので仕方のないことですが…。

 思うに…商業作品の文化だと、あるジャンルを育てるか廃れさせてしまうかの責任は消費者にだってあるんじゃないかなぁと。何故廃れてしまうかと言えば、業界内の事情もあるでしょうが、買う側がそういう傾向を選択しなかったからというのもあるはずなんです。ライトノベルでノンシリーズ短編集を増やしたいのであれば、みんながノンシリーズ短編集を買って、業界に「売れるぞ!」と思わせるのが、まず消費者側のできることだと思います。*1

*1:一番重要なのは作品形態ではなくて内容なのでしょうが。