はりねずみチクタは何を語る
上遠野浩平さんの「しずるさんとよーちゃん」シリーズに登場するマスコット「はりねずみチクタ」は何を表わしているのでしょう。
チクタは「止まった時計をお腹に付けたはりねずみ」。まず「はりねずみ」という外見は、
チクタって、割りと臆病というか、いつも隅っこで縮こまっていたから、外に出てもなかなか進めなかったでしょうね。
上遠野浩平「しずるさんと偏屈な死者たち」66ページ
という説明からしても、チクタの性質を表わしているのでしょう。一方、「お腹に付けた止まった時計」は、チクタ自身の時間が止まっていることを意味していると解釈できなくもないです。
ハリネズミのように縮こまって、時間が停止している…いや、時には前向きなんですけれども。時計を直してもらおうと旅もしてますし。そしてこういうキャラを、私は上遠野浩平さんの作品の中でもう一人知っています。それは
自分はもうはっきりと何年も前に卒業していることを知りながらも、しらばっくれて通っているのである。
(中略)
ぼくは「本当はここにいちゃいけないんだけどなー」とか考えながら、教室のすみっこに座っていたりするのである。夢の中で。
上遠野浩平「ブギーポップは笑わない」281ページ(あとがき「ブギーポップのいる学校」)
という上遠野浩平さん自身です。
というわけで実は「チクタ=上遠野浩平さん」なんじゃないかと思うんだけどどうかな?
(おまえ、いつもこんなひねくれたこと考えてるんだな)
(まあいいじゃん)