物質的数学的ロマンチック
たまにはまじめに絵画の話を。
心がつまるところ物質の一形態に過ぎないとしても、そこにロマンを見出すことはできると思います。ひとつには機械の物質的構造のうちにロマンがあるからで、もうひとつにはそれを動かす数学的原理こそ地上でもっともロマンチックな事柄だからです……というのは偏狭な考えでしょうか?
12/28コメント欄、id:trivialさん(安眠練炭さん)のコメント
http://d.hatena.ne.jp/giolum/20051228#c
なるほどなるほど。そこまで考えが至っていませんでした。ツッコミありがとうございます。私も専門は機械工学ですし(自分でこのブログを読んでもとてもそうは思えないですが)、そういうロマンは分かるつもりです。
ところで私はそこから3人の画家の絵を連想しました。
まず「機械の物質的構造のロマン」で連想するのはフェルナン・レジェですね。レジェはこういう絵を描いた人です。↓
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From Millet to Léger: Essays in Social Art History
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機械好きのレジェは、人間も機械のように描きました。これを美しいととるかどうかは人によるでしょうが、そこには、それ以前に無かった全く新しいイメージがあります。現在の日本のコミックやイラストにも大きな影響を与えていると思います。
それから「数学的原理のロマン」というので連想するのがワシリー・カンディンスキーやピエト・モンドリアンです。
カンディンスキーはこういう絵を描いた人。↓
カンディンスキー NBS-J (ニューベーシック・シリーズ)
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モンドリアンはこういう絵を描いた人。↓
モンドリアン NBS-J (ニューベーシック・アート・シリーズ)
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カンディンスキーもモンドリアンも最初は具象画を描いていたのですが、カンディンスキーは音楽的な表現を求めて、モンドリアンは自然の情景を極限まで単純化することを求めて、幾何学的な抽象画に至ります。(と、私は解釈しています。)
どちらの絵にも、もはや現実世界で人間が目にする「カタチ」はありません。けれどもそうしたうわべの形がないからこそ、現実を動かしている原理をかなり純粋に抽出して描くことができているような気がするのです。
- されど
とは言うものの、レジェが絵画芸術の前衛として活躍したのは1920年代、カンディンスキーやモンドリアンも1920〜30年代。人々が機械文明や科学文明でユートピアを築くことができると無邪気に信じていた時代のことです。その理想は今でもロマンとしてあって良い訳ですが、世の中がもっと素直じゃなくなってくると、前衛芸術もそれを反映して行かざるを得なくなるのです。多分。