ピンクのスニーカー 角川文庫青版/スニーカー300番台

 mizunotoriさんのライトノベル大陸戦記に始まってid:REVさんやid:minapさんのところでスニーカー文庫創世記の話が盛りあがっていますが、乗り遅れた私は少し違った切り口で行きたいと思います。

 角川スニーカー文庫の成り立ちにおいてファンタジーフェアやグループSNEが重要な役割をはたしたことは間違いありません。しかし当時の角川が「青版/スニーカー」という看板を掲げてやろうとしていたのは、現在の電撃・スニーカー文庫への流れだけではなく、もっと広いものであったようであります。


Aliログ:日誌の抜粋 & Special Topics - 日記抜粋:スニーカー文庫関連
http://alisato.parfait.ne.jp/diary/l200204-02.htm

ジュニアの系譜 - スニーカー文庫からの流れ
http://lanopa.sakura.ne.jp/hayami/11.html


 ありさとさんや早見裕司さんの調査を読むと、どうも角川は「青版/スニーカー」として現在のスニーカー文庫の範囲だけではなく、角川版コバルト(orX文庫ティーンズハート)をやろうとしていたように見えるのですよね。結果としてこの「角川版コバルト」構想はルビー文庫として青版/スニーカー文庫から分離独立し、さらにそこからティーンズルビー文庫ビーンズ文庫が派生して現在に至ります。

 ところで、「青版/スニーカー文庫」は背表紙の上の方に作家別のコードが付いています。谷川流さんなら「168」、日日日さんなら「185」ですね。しかし谷川流さんが「青版/スニーカー文庫」で168番目の作家という訳ではありません。というのもこのコードには1番から始まるものの他に、300番台、600番台、700番台、900番台などがあるからです。

 この番号を調べると「青版/スニーカー文庫」編集部の意図がおぼろげながらに掴めてきます。例えば600番台に「ロードス島」や「フォーチュン・クエスト」があったり、900番台はミステリー倶楽部だったり……。そして300番台が「角川版コバルト」構想であったようです。作家一覧を作ってみました。

  • 337:尾鮭あさみ

 最初は「青版」の名の通り、背表紙に上に青の帯が入っていたのですが、スニーカー文庫になってからは背表紙の上がピンク色になっていました。(他のスニーカー文庫は青のまま。)

 336番のごとうしのぶさんの「タクミくん」1巻は、「ルビー文庫336-1」と青版/スニーカー文庫ルビー文庫の番号が混じって付いています。

 ちなみに「ルビー文庫1-1」はこれ

なのですが、1991年にはまだルビー文庫はなかったので、最初にスニーカー文庫から出て、あとで番号を付け替えたのでしょう。三村美衣さんの「ライトノベル30年史」(「ライトノベル完全読本」収録)でもスニーカーから出たことになっていますし。

 現在のスニーカー文庫から当時の「青版/スニーカー」を想像するのはちょっと難しいかも知れませんね。

 こういうのを調べる時は、やはり基礎データがある方が便利ですよね。私はとある文庫の禁書目録という目録をちびちび作っているのですが、暇があったらスニーカー文庫のリストも加えたいと思います。いつになるか分かりませんが……。