鶴屋山登山記-その1-みくるとキョンが登った獣道

穴掘りだと?平安京検非違使じゃあるまいし、いったいどこを掘ったんだ?
「やま」
 朝比奈さんの返答は簡潔を極めていた。
鶴屋さんの私有地にある山です。学校の帰り道に坂の途中から見える丸いやつ」


谷川流涼宮ハルヒの陰謀」87ページ

 これですか。

  • 甲山⇔鶴屋山

 私は「涼宮ハルヒの陰謀」に繰り返し登場する「鶴屋山」のモデルは、西宮市甲山町にある甲山(かぶとやま)だと考えています。作中の鶴屋山の描写が甲山とよく一致するからです。具体的にどのように一致するのか、実際に甲山に登って撮ってきた写真を使って説明していきたいと思います。

 まず鶴屋山の概観が描かれているシーンを見てみましょう。

 鶴屋家の私有山は我が北高から東に水平移動した場所に位置している。山というよりは大型の丘という感じで、そんなに標高はない。思いっきりヒネった視点で観察すれば、忘れられた古墳に見えなくもないが、天然林に占められた山の表面を見上げてみれば、これが円墳であろうと休火山であろうと登る手間に違いはなく、ちなみに登山道みたいなものもない。あるのはクマでも上り下りに苦労しそうな急勾配の獣道だ。


谷川流涼宮ハルヒの陰謀」174ページ

 残念なことに甲山は北高のモデルである西宮北高の東にあるのではなく、北東にあります。また87ページの記述通り「学校の帰り道に坂の途中から見える」かどうかも微妙です。しかしそれ以外の記述は甲山と一致します。

「登山道みたいなものもない」と書いてありますが、これは174ページの段階でキョンがそう思い込んでいるだけで、作中でも後で登山道が登場します。

  • 自然観察池⇔麓の田んぼと畑

「こっちです。うん、ここから登ったわ」
 朝比奈ナビゲーションによって自転車を走らせて坂を上ったり田んぼのあぜ道を踏破したりしているうちに、すでに日が傾き始めていた。山の麓は水のかれた田んぼか菜っぱを生やした畑が広がるのみで、人の姿は皆無だった。


谷川流涼宮ハルヒの陰謀」175ページ

この描写は甲山の西側登山道の入り口がある自然観察池付近

を差していると考えています。

  • 西側登山道入り口

「あ、はい。あたしが案内するんですね。そんなに上まで登らなかったので、すぐです」
 鬱蒼たる緑の山に入っていく。


谷川流涼宮ハルヒの陰謀」175ページ

 きっとここのことです。

 ここで注意!看板が立っています。

 ここから先は「ちょっと街歩き」という気持ちで行くと危険です。それなりに動きやすい装備で臨みましょう。

真冬では蛇や虫も冬眠中だろうし、そう危なくないと判断する。


谷川流涼宮ハルヒの陰謀」175ページ

 写真を撮ってこなかったのですが蛇や蜂への注意を促す看板もありました。夏に行く時は注意しましょう。

  • 西側登山道⇔獣道

「はっ、ふうっ、あう」
果たして朝比奈さんの山登り姿はかなり危なっかしい。まして道ならぬ道である。


谷川流涼宮ハルヒの陰謀」175ページ

 一応、土のうと木組みの階段があるにはあるのです。

 ですが、

俺たちはほぼ一直線に小型の山の中腹を目指した。


谷川流涼宮ハルヒの陰謀」175ページ

 そう、一直線なのですよ。

 ↑この山を一直線に登るのですよ!?もう笑っちゃいます。(汗)

よくよく観察してみると、今俺たちが辿っているルートは人の出入りがあることを示すように、ところどころが踏み固められていた。かといってまともな道でもなく、少し上等な獣道程度だが、それでもまったくの自然のままならこうして朝比奈さんが俺の前を行くことは不可能だったろう。


谷川流涼宮ハルヒの陰謀」175〜176ページ

 まあ、この辺りが朝比奈みくるが登れる限界だろうな、と思います。

 と、前方の視界が開けてきました。すわ、

 登ること十数分、俺の目の前に平坦な場所が現れた。


谷川流涼宮ハルヒの陰謀」176ページ

ここのことか!と思いきや、

平坦じゃないですよ。というか崩れてますよ、をい。まあ私でも通過できたので大抵の方なら大丈夫でしょうが、雨の日や夜は絶対にやめておいた方が良いと思います。

  • 次回予告

 今回はここまで。次回はSOS団が登ったと思われる南東側登山道を紹介いたします。