口絵コミックの発想はスニーカー文庫創刊時には既にあった

 ライトノベルに口絵コミックが現れたのはいつからか、という話です。


後天性無気力症候群-口絵コミックはかなり以前からある
http://d.hatena.ne.jp/giolum/20060928#1159457034


 上記エントリーの時には、口絵にコミックがあることが確認できた最も古いライトベルは1989年7月刊の富士見ファンタジア文庫「<爆裂お嬢> シンディ・スー II 熱いハートに危機一髪!」だったのですが、もう少し古い例を見つけてきました。

 1988年10月刊の「聖エルザクルセイダーズ3 聖戦!」の口絵に伊東岳彦さんによるコミックが載っています。

 この1988年というのはスニーカー文庫が創刊されたかどうか*1という時期でして、どうやら角川文庫青版からスニーカー文庫へと名前を変えようとしていた頃には、もう口絵にコミックを載せようという発想があったことがはっきりしました。

 ついでに古本屋で1988年頃のコバルト文庫ソノラマ文庫にも口絵コミックがなかったのか調べてみたのですが、当時のコバルト、ソノラマにはほとんど口絵自体がありませんでした。X文庫ティーンズハート(1987年創刊)は調べていませんが、カラーの口絵が当たり前に付くようになった最初のライトノベルレーベルは、スニーカーと富士見ファンタジアである可能性が高いです。

 仮にX文庫ティーンズハートにも初期から口絵があったとしても1987年からであり、口絵コミックは口絵の標準装備とほぼ同時期には出現していたと考えてよいと思います。

 私は上述の「聖エルザクルセイダーズ」をまともに読んだことがないのですが、パラパラめくってみただけでも

    • 突然、本文中に「Question」というコラムというか解説というか、よく分からんコーナーが挿入される
    • 書体、字の大きさが破天荒に変わる
    • 挿絵がコミック風のコマ割りのことが多い

など、当時としてはかなり自由気ままにやっていたのが分かります。18年前にすでにこんな本があったということをすっかり忘れていました。当時の「既成概念をぶち壊してやるぜ!」というパワーを感じる作品であります。

*1:未だにスニーカー文庫がいつ創刊されたのか明確ではありません。見方によっては今でもただの角川文庫だし。