「竹田くんの恋人」についてはもっとじっくり考えていきたい
これは『赤×ピンク』や『推定少女』、引いては『砂糖菓子の弾丸は貫けない』に繋がる桜庭一樹の源流が確かにあるのだな。先日読んだ『AD2015隔離都市 ロンリネス・ガーディアン』にも通じる、すなわち“少女”と言う記号化された、言い換えれば虚構化された存在の内面を描こうという試みである。その意味では、桜庭一樹は突然成長して凄いものを書くようになったのではなく、デビュー当初から一貫して持ち続けているテーマを愚直に描きつつけている作家なのだ、と思った。
積読を重ねる日々-『竹田くんの恋人 ワールズエンド・フェアリーテイル』読了
http://kiicho.txt-nifty.com/tundoku/2006/12/post_3599.html
私も「竹田くんの恋人」を読んだときに「推定少女」と似ていたことに驚きました。少なくとも桜庭一樹さんは「赤×ピンク」「推定少女」で突然変わった訳ではなさそうです。「AD2015隔離都市」も読んでみたくなりました。(古本屋で探してこなければ。)
先日の地方都市にきっといるよ、現実的な女のコは少しふざけて書き過ぎました。もっとじっくりと「竹田くんの恋人」が「推定少女」や「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」とどこが同じでどこが違うのか考えていきたいと思っています。
先日は次の3つを共通点として挙げました。
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- 「閉塞した空間に居る少女が大都市に出ていく」という点が「推定少女」「少女七竈と七人の可愛そうな大人」「赤×ピンク」と共通している。
- 「1人の少女がもう1人の少女と出会うことで物語が始まり、別れることで終わる」すなわち「1人の少女がもう1人の少女を移行対象にしている」という点が「推定少女」「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」「少女には向かない職業」と共通している。
- 「2人の少女が秋葉原で長髪の少年に会う」という点が「推定少女」と共通している。
そして「ゲームの世界」を「地方都市」に変えれば、「竹田くんの恋人」もいわゆる「地方都市シリーズ」に近いものになりそうではないかと考えていました。しかし、吉兆さんの感想を読んでさらに気付いたことがあります。
それは「推定少女」の白雪も「シンジケート」というゲームから出てきたことが暗に示唆されているキャラクターだったことです。すなわち
「竹田くんの恋人」は主役3人中、1人を「ゲームの世界の住人」から「地方都市の住人」に変えるだけで「推定少女」に非常に近い作品になるのです。
また、現時点ではまだ明確に言えませんが「砂糖菓子〜」の海野藻屑や「少女には向かない職業」の宮乃下静香も、キラシャンドラと白雪の影を引きずっているような気がいたします。そのあたりのことは、追々整理していければと思っています。