「学校を出よう!2」についての仮説その2 5つの駅はどこがモデルか

 「学校を出よう!2」についての仮説その1の続きです。今回は「学校を出よう!2」で登場する鉄道の駅は、現実と照合するとどこになるのかについての2つの仮説を紹介します。

  • 5つの駅

 「学校を出よう!2」では主に次の5つの駅が登場します。

    • A駅:三人の神田と星名サナエが行動の拠点とする駅。

 二人の神田健一郎は、駅前の狭い公園でランデブーした


谷川流学校を出よう!2」53ページ

 サナエとは改札を入ってすぐの所にある大時計の横で落ち合うことにする。
(中略)
 神田Aが促して先陣を切る。どちらの側のホームに神田Nがいるのか確信があった。階段を駆け下りると、やはり奴はそこにいる。


谷川流学校を出よう!2」176〜177ページ

ゆるやかに停車したチョコレート色の車輌のドアが開き、乗降客達がすれ違う。神田Nの背中を見つつ、三車輌後の箱に三人は乗り込んだ。


谷川流学校を出よう!2」179ページ

    • B駅:神田Aが音透湖の手がかりを求めてA駅から行く駅。

私鉄沿線で乗り換え一回、神田Aは隣の市のメインタウンで降車した。ほとんどが住宅地で占められるその町は、緑を多く残す住み心地の良さそうな立地条件を十全に保っていた。よって日中に見られる人影のほとんどから高級感漂う雰囲気が感じられる。


谷川流学校を出よう!2」120ページ

    • C駅:神田NがA駅からD駅に行く途中で、神田AがA駅からB駅に行く途中で乗り継ぐ駅

 乗り継ぎの駅でプラットホームを歩いていた神田Aの足が止まった。向かいのホームの白線の内側に、昨日今日と鏡を見ているわけでもないのにさんざんお目にかかった顔がいた。
(中略)
 神田Nが待っているらしい電車は、自宅のある町とは反対方向に行くものだった。各駅停車でここまで来て、急行に乗り換え待ちか。神田A自身、あまり出かけることのない方角だ。都市部とも逆方向だし、遊びに行くようなところもあまりなかった。ああ、海があるから夏には海老原姉妹に連れられて行ったっけ。


谷川流学校を出よう!2」122〜123ページ

    • D駅:神田Nが乗り降りする幽霊マンションのある駅

 神田Nが降りたのは、急行が五つ六つ駅を通過して最初に止まった駅である。急行が止まる程度には開かれた町だが、どちらかと言えば商業よりも工業のほうが発展している地域だ。


谷川流学校を出よう!2」129ページ

    • E駅:A駅から最終決戦に行く時に降車する駅

 神田Bが聞いたままの駅名を告げ、
「そっから徒歩十五分くらい南にいった船着き場だそうだ。倉庫がたくさんあるところらしい」
「あのマンションとはまた全然別方向だな。港か……。の、埠頭。倉庫?」と神田A。


谷川流学校を出よう!2」209ページ

 降車が叶ったのはそれから三十分後のことである。海も間近な街なかの、各沿線が一同に乗り入れるセントラル・ジャンクション。それなりに規模の大きい商業地域である。
 来る前に地図帳で確認しておいた。北を見上げればすぐに間際に山並みが迫っており、南は海に面している。


谷川流学校を出よう!2」223ページ

 このうちA駅は、駅前に狭い公園があること、改札内に大時計がありそこからホームに降りること、車輌がチョコレート色であること、それに谷川流さんが西宮出身であることも考え合わせると、阪急西宮北口駅がモデルであることが確実です。

 またE駅は、西宮北口からの距離とセントラル・ジャンクションであること、それに北が山で南が海である地形から考えて神戸三宮がモデルでありましょう。

 問題は残りのB、C、D駅がどこに当たるかであります。

102 :イラストに騙された名無しさん:04/03/21 15:43 ID:07GnuInf
>>97
2巻では明確に阪急沿線になるね・・・
最寄り駅の改札入ってすぐに待ち合わせの大時計はカリオンの鐘で、西宮北口
音透湖の住む隣の市が伊丹市西宮北口から乗り換え1回。
伊丹から戻ってきた神田Aが塚口で梅田方面行きホームの神田Nを発見。
そのまま十三で宝塚線急行に乗り換えて豊中で降りる→幽霊マンション
幽霊マンションとは全然別方向の埠頭→三宮・神戸で決着

 この説はつまり

と言っている訳ですが、まだまだ情報の少なかった2004年3月時点であることを考えるとよく練られていると思います。この説の拠り所は阪急塚口駅の構造です。阪急塚口駅は阪急伊丹線神戸線のホームがつながっているので、C駅での神田A・神田Nの行動をほぼ矛盾なく説明できるのです。またD駅とE駅=三宮が「全然別方向」にあることも説明できています。

(ちなみにC駅=阪急夙川駅としてもC駅での神田A・神田Nの行動を説明できるのですが、D駅とE駅=三宮が「全然別方向」にあることとは矛盾してしまいます。)

 D駅=豊中がちょっと苦しいのと、D駅方面に「海がある」説明ができないことが弱いですが、2004年3月にここまで考えてられていたのは凄いと思います。私には到底無理です。

 が、しかし、最近私はもっと有力な説を知ってしまいました。

  • 今津乗り継ぎ説

769 :イラストに騙された名無しさん :2006/11/21(火) 21:38:07 id:O1yE2htm
 >>767
 てことは音透湖の家は芦屋で
 工業地帯のダウンタウンが尼崎なんだろうか

 B駅=芦屋、D駅=尼崎としか書いてありませんが、恐らくA駅=西宮北口、E駅=神戸三宮は自明であるということなのでしょう。芦屋、尼崎の両駅はJRと阪神の両方にあるのですが、西宮北口から乗り継いでいけるのは阪神本線であり、乗り継ぎ駅は阪急・阪神今津駅となります。すなわち

となります。

 私はこの説を知ったとき愕然としてしまいました。この説の素晴らしいところは「B、C、D駅は阪急線ではなく阪神線の駅である」という発想の転換です。あまりにも谷川流作品=阪急沿線というイメージが強いので私は無意識のうちに阪神線を使うことを可能性から外してしまっていたのでした。

 またこの説だとC駅=今津駅から見てD駅=阪神尼崎方面には「海」へ行く阪神武庫川線があります。B駅=芦屋=高級住宅地、D駅=尼崎=工業地帯というのもうなづけます。そして何といっても舞台のすべてが尼崎・西宮・芦屋・神戸市内で説明できてしまうこと、つまり同作者の「涼宮ハルヒ」シリーズの舞台にすっぽり入ってしまうことに強い説得力があります。

  • 今津駅が作中の描写と合わない?

 ただし、この「今津乗り継ぎ説」には大きな弱点があります。阪急今津駅と阪神今津駅は乗り継ぎ可能なものの、互いに駅舎およびホームが離れているために、作中のC駅での神田A・神田Nの行動を説明することができないのです。

 なので、「今津乗り継ぎ説」もやっぱり違うのかなぁ、他に何か良いアイデアはないものかなぁと考えていたのです。しかし昨年末、私は西宮市立郷土資料館を訪れて西宮市内の古い地図を見ていたときに「あっ」と気付きました。できる! ご都合主義ではありますが、C駅=阪急・阪神今津駅であるとして、神田A・神田Nの行動を説明することは可能なのです!

 どうすればそんなことが可能なのか。それはまた次回に説明いたします。では。