カレーなる検証

一本足の蛸-カレーライスと鳥取人

 す、凄いです。カレーひとつでここまで調べられるとは。感服いたしました。

 ところで桜庭一樹さんが

そんなにもカレー育ちの割には小説にカレーが出てきたことも一度もない。


桜庭一樹桜庭一樹二都物語」(「野性時代Vol.39」59ページ)

と書かれていますが、何か違和感があります。どこかでカレー、出てきませんでしたっけ。

 と調べたら、まず「少女七竃」に何度か出てきますね。

「歌って踊ってカレールーの箱を片手に微笑むのはまっぴらごめんであります。はは」


桜庭一樹「少女七竃と七人の可愛そうな大人」110ページ

 これは、まぁカレーが出てくるものの、食べている訳ではないのでセーフと言えるでしょう。では次はどうか。

四枚目のシングルレコードがようやくスマッシュヒットとなり、子供用の甘口カレールーのコマーシャルが転がりこんできたころのことでした。こましゃくれた子役たちと一緒にカレーを一口食べて、おいしい、と微笑む、その笑顔はラメの輝きとカレーの香辛料の匂いが入り混じっており、目はというと、相変わらず、卑しく濁っておりました。


桜庭一樹「ゴージャス」(「野性時代Vol.39」74〜75ページ)

 これはアウトじゃないかなぁ。ただ「小説にカレーが出てきたことも一度もない」であって「小説にカレーが出てくることも一度もない」ではないので、上記のエッセーのあとに「ゴージャス」を書かれたのであればぎりぎりセーフということなのかも知れませんが。は!? もしや上記のエッセーは「これからついにカレーについて書くぞ!」という宣言だったのでしょうか。

……なんて馬鹿なことを書いているから「古典部」の短編も「僕僕先生」も読む時間が作れないのです。嗚呼。