猫の寓話〜冬の巨人
- 作者: 古橋秀之,藤城陽
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2007/04/10
- メディア: 単行本
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とても爽やかな青春ものでした。
この作品はあとがきによると「”破滅と再生の寓話”という感じ」で書かれたそうです。この「破滅と再生」というのは「冬の巨人<ミール>」はもちろん、作中の色々なキャラクターを指しているのだと思いますが、私は特にオーリャの家に住みついている猫、アンドリューシャのことが気になりました。
「破滅と再生」を「死と生」と読みかえるなら、アンドリューシャはウーチシチとともに間違いなく「死」の役割を担っているキャラクターです。
ディエーニン教授がオーリャの父役だとするなら、ウーチシチはオーリャの兄にあたる役だと思います。兄弟でウーチシチが死、オーリャが生を受け持っているのではないかと。
一方、アンドリューシャはオーリャの「家」を象徴する存在でありましょう。母親代わりとも言えるかも知れません。オーリャが部屋および外市街を出て行くのと、アンドリューシャの死とが同時なのはそのためです。また、アンドリューシャは冬の巨人そのものとも言えるでしょう。アンドリューシャの衰弱と死は明らかに、冬の巨人のそれと重ね合わせて捉えることができます。
しかしなによりも冬の巨人の姿かたちが「アンドリューシャ=冬の巨人」であることを物語っています。賢明な方は既に私が言いたいオチにお気付きでしょう。そう。
冬の巨人は猫背なのです。