「学校を出よう!」に関するヌルい返答

 谷川流作品を貫く中心にあるモチーフは、理不尽に対する怒り、とでもまとめてしまってよかろうものだと思います。


帰ってきたへんじゃぱSS
http://d.hatena.ne.jp/K_NATSUBA/20070501#1178089511

 うぐぁ(汗)。「中心」とまでは私は言い切れませんが、「理不尽に対する怒り」が谷川流作品によく見られて、「学校を出よう!」1巻に一番よく現れている点については、これは納得です。その点は見落としていました。ご指摘ありがとうございます。

 上記のツッコミを頂いただけでも「涼宮ハルヒの分裂」の構成と続きに興味があるなら「学校を出よう!」を読もうを書いたかいはあったと思います。「学校を出よう!」1巻を叩いた箇所は、削除or書き直しましょう。

 そのことが『涼宮ハルヒの分裂』の読解にどう影響するのでしょうか?

 そこの理路は、ぎをらむさんの元記事では非常に不分明であるように思えます。まあ、似たようなトリッキーな構成を持った小説を紹介する、という意図はわかりますが、それなら「構成に興味があるなら」でいいはずで、「構成と続きに興味があるなら」というのはわかりません。
 なおかつ、トリッキーな構成のライトノベルも『学校を出よう!』の専売特許ではもちろんありません。『悪魔のミカタ』なんかもかなり毛色の変わったことをやっています。

 個人的には「分裂」と「学校を出よう!」を東浩紀さんの唱える「ゲーム的リアリズム」と絡めていろいろ考えられないかと思ってはいるのですが、恐らくそんなことは大多数の「ハルヒ」ファンの方にはどうでもいいことなので、単に「似たようなトリッキーな構成を持っているから読んでみてください」というレベルで書きました。もちろん「ALL YOU NEED IS KILL」や「悪魔のミカタ」も、「分裂」が面白いという方には読んで欲しい作品ですね。

『「涼宮ハルヒの分裂」の構成と続きに興味があるなら「学校を出よう!」を読もう』は「学校を出よう!」をプッシュするのを目的で書いたものですので、単に他の作品を取り上げていないだけです。

「続きに興味があるなら」と書いたのは、「分裂」が完結作品ではなく次巻「涼宮ハルヒの驚愕」とセットの作品だからです。「分裂」がトリッキーな構成であるからには「驚愕」も十中八九トリッキーな構成であり、「分裂」で広げられた風呂敷に「驚愕」でオチが付けられるでしょう。そのオチの付け方を予想する際に「学校を出よう!」が参考になるのではないか、ということです。

 むしろ『学校を出よう!』の一巻が合わなかったから二巻以降は読まない、というのはただの正解であるように思えます。

 それは全く正しくて、「2巻以降を読め」という私の方がおかしなことは確かです。

 ですが、それでも、2巻以降には1巻とは違った魅力があり、その2巻以降の魅力はたとえ「理不尽に対する怒り」から来るものだったとしても最終的に1巻とは別の形で開花しているものであり、理屈が通っていなかろうが「1巻で止めてしまう人に2巻以降の魅力が伝わらないのはもったいない」と書かせるほどのものであります。その魅力を夏葉薫さんに上手く説明できないのが残念です。