「ザ・スニーカー」が誇っていい功績、「イラストコンテスト」

 昨日の「ただのライトノベル誌には興味ありません。」に続き、「ザ・スニーカー」誌を擁護するエントリー。

「ザ・スニーカー」誌は実売部数2万数千部というマイナー誌ではありますが、それでも誇って良いものを幾つか持っています。そのうちの一つが「ザ・スニーカー・イラストコンテスト」という読者投稿イラストコーナー。

「イラコン」と呼ばれるそのコーナーは、読者投稿イラストをさらに読者人気投票で順位付けするものです。上位入賞者にはポイントが与えられ、累積ポイントが高くなるとスニーカー編集部から声がかかるというシステムになっています。それゆえにファンアートというよりも最初からプロ志向の人の投稿が多く、「本当にこの雑誌、2万数千部なのかよ」と思えるほどイラストのレベルは高いです。ライトノベル誌の中では恐らく随一でしょう。

 次のようなイラストレーターさんがここからプロデビューしています。

 主にせつない「白乙一」作品を担当。

失踪HOLIDAY (角川スニーカー文庫)

失踪HOLIDAY (角川スニーカー文庫)

さみしさの周波数 (角川スニーカー文庫)

さみしさの周波数 (角川スニーカー文庫)

「イラコン」時代は「ノイエ・バロック派」と呼ばれた、スニーカー文庫ビーンズ文庫の看板イラストレーター。

    • Chiyokoさん

 ここは敢えて「巫女メイド戦記」を紹介させて頂きます。(笑)

血闘絶対国防圏 (上) 邀撃の巻 Ginga‐novels

血闘絶対国防圏 (上) 邀撃の巻 Ginga‐novels

血闘絶対国防圏 (下) 反撃の巻 Ginga‐novels

血闘絶対国防圏 (下) 反撃の巻 Ginga‐novels

 この人の場合、もはやスニーカー以外の仕事の方が圧倒的に多いですね。

9S(ナインエス) (電撃文庫)

9S(ナインエス) (電撃文庫)

    • 宮城さん

「イラコン」では彩度を抑えた画風が高評価を得る傾向があるようです。

されど罪人は竜と踊る (角川スニーカー文庫)

されど罪人は竜と踊る (角川スニーカー文庫)

シャギードッグ 天使の序章 (GA文庫)

シャギードッグ 天使の序章 (GA文庫)

 2004年〜2005年に、プロ作家の文章に投稿イラストレーターを挿絵担当させる「Pre-Pro」という特集が行われました。一種のプロイラストレーター養成企画です。この「Pre-Pro」には次の方々が抜擢されています。

    • えぃわさん

 2004年8月号であおしまたかしさん著「執事王セバスチャン」のイラストを担当。
 後にクイーンズブレイドの中の人に。

クイーンズブレイド ソード・オブ・ユニコーン (HJ文庫)

クイーンズブレイド ソード・オブ・ユニコーン (HJ文庫)

 2004年10月号でこちふかばさん著「お日様は今夜も空を飛ぶ」のイラストを担当。
 同年に第11回電撃イラスト大賞<銀賞>受賞。現在は「カトウハルアキ」さん名義で活動。

憂鬱アンドロイド (電撃文庫)

憂鬱アンドロイド (電撃文庫)

    • あかつきさん

 2004年12月号で林トモアキさん著「パリエル がしがしいきましょう!」のイラストを担当。
 それ以前より「無限のファンタジア」で活動されているようです。

 2005年2月号で長谷敏司さん著「円環少女」のイラストを担当。
 その後「円環少女」のシリーズ化に伴い、なし崩し的にプロへ。

円環少女 (角川スニーカー文庫)

円環少女 (角川スニーカー文庫)

鋼殻のレギオス (富士見ファンタジア文庫)

鋼殻のレギオス (富士見ファンタジア文庫)

    • 水那瀬さん

 2005年2月号に「Pre-Pro」とは別枠で、冴木忍さん著「リュシアンの血脈」のイラストを担当。
 同年に第12回電撃イラスト大賞<金賞>受賞。

エンジェル・ウィスパー

エンジェル・ウィスパー



……という具合に「ザ・スニーカー」誌のイラストコンテストは、才能の発掘システム・登竜門として、ライトノベル業界に対して結構な功績があるのです。ご存知でしたでしょうか?

 いや、実は私もあまり知らなくて(汗)今夜急いで調べたのでいろいろ過不足があるかもしれません。「違うぞ、をい」という場合はツッコミ入れてください。