だから!「ディバイデッド・フロント」は読んでおけと言ったのだ!(←言ってない言ってない)

 新潟でお会いした時にまきがいさん高瀬彼方さん著の『ディバイデッド・フロント』を読まれていて、海燕さんも「『ディバイデッド・フロント』を早く読まなきゃな〜」と言われていたので、私も「『ディバイデッド・フロント』は良いですよ〜」とさりげなく後押ししておきました。で、どうやら海燕さんにはどハマリだったようですね。

 いやー、良いんですよ『ディバイデッド・フロント』。シリアスで重いので全然「ライト」なノベルじゃないですし、万人受けするとも思えないですが、逆境に放り込まれた主人公の心理描写と行動に心を揺さぶられます。


 以下、私の感想より。

実力がありながら知名度を上げるチャンスに恵まれない作家というのは沢山いると思いますが、 高瀬彼方もそういう一人でしょう。 「カラミティ・ナイト」の描写も凄かったけど、この「ディバイデッド・フロント」も鬼気迫るものがあります。 主人公、土岐英次のタイトロープを駆け抜けて行くような決死のアクションと、 ヒロイン宮沢香奈のどうにもならない行き詰まった心理描写、 どちらも賀東招二秋山瑞人といった人気作家に勝るとも劣りません。


(1巻の感想、2003/10/29)


絶望的な状況にありながら、いや絶望的な状況だからこそ必死に生きる英次や一流や香奈や彩の姿が鮮烈です。 人間というのはぬるま湯の中で腐ってしまうこともあるし、 追い詰められて自滅してしまうこともあるけれど、こんなに強くなれる可能性も持っているのかと感心してしまいました。


(2巻の感想、2004/5/12)


他の人が何をやっているかなど知ったことではない。 自分は何ができるのか?自分は何をすべきなのか? それに向き合うことこそが大切なんだと、高瀬彼方は必死に語りかけてきます。 銃弾が飛び交う戦場を、血みどろになって這いずってでも教えに来てくれます。


(3巻の感想、2005/4/20)