2つの「夏への扉」

 恐らく、これから書くことはSFファンの方なら誰もが気付いていることでしょうが、そこは「ああ、私も初心者の頃はこうだったかな」と、寛容な目で見守ってやってくださいませ。

 新城カズマさんの「サマー/タイム/トラベラー」全2巻をようやく読み終えました。正直な感想を書きます。

 難しいです。迂闊に感想書けません。

 私が「サマー/タイム/トラベラー」を読むのは、多分20年早いんじゃないかと思います。作中に膨大な引用があるのですが、SFを読んでいない私には1割も分かりません。

 ですが、幾つか分かった点があります。その内の1つが鶴田謙二さんによる表紙イラストです。読んでいない人のためにちょっと説明しましょう。ちなみにネタバレはない(つもり)ので安心してください。

 「サマー/タイム/トラベラー」では、主人公の少年少女がたむろしている「夏への扉」という喫茶店が登場します。店の棚にはSFの本がぎっしりです。猫が居て、名前は沢山ありますが、一番良く呼ばれるのは「ピート」という名前です。「夏への扉」という店名はロバート・A・ハインラインの同名SF小説にちなんだものです。

 私はロバート・A・ハインラインの「夏への扉」を読んだことがありません。名作なのだそうですが。とりあえず、amazonの紹介文によると「夏への扉」という題は、作中で「ピートという猫が冬になると扉の向こうに夏があると信じこんで手当たり次第に扉を開けたがる」ことに由来しているようです。(違ったらごめんなさい。)

  • こららを踏まえて表紙を見てみましょう。

 まず第1巻

サマー/タイム/トラベラー (1) (ハヤカワ文庫JA)

サマー/タイム/トラベラー (1) (ハヤカワ文庫JA)

 左の少女は喫茶店夏への扉」の一人娘、悠有です。一応メインヒロインだと思います。右下の猫がピート。そして背景には本が詰まった戸棚。これらはどう見ても喫茶店夏への扉」を表わしたものです。

 続いて第2巻を見てみましょう。

サマー/タイム/トラベラー (2) (ハヤカワ文庫JA)

サマー/タイム/トラベラー (2) (ハヤカワ文庫JA)

 戸棚は窓のような扉のようなものに変わっています。そしてその一部が開き、ピートが覗き込むその先には夏の空…そう!これはまさにハインラインの「夏への扉」ではありませんか。

 第1巻の表紙が喫茶店夏への扉」で、第2巻の表紙がハインラインの「夏への扉」。はぁぁぁぁぁ、よく出来ていますねぇ。(笑)

 扉の向こうに更に窓があって、その中が夕焼けになっているのにもきっと意味があるのでしょう。私には分かりませんが。

 その他に気付いた点は、また次の機会に書きまする。