色は他の色との関係です

知恵の実


osakana.factory-ベッキーの髪の陰は何故ピンクなのか
http://ofo.jp/osakana/diary20051125.phtml

を読んだことについての追記です。

図1について補色に近づいた陰の部分はなぜ赤っぽくではなく緑っぽくみえるのか。
(中略)
また、明度を落とした同色相の色に補色を重ねても灰色に近づくだけでないのは?


http://b.hatena.ne.jp/ssuguru/20051214#bookmark-1048935

という疑問を持たれている方がいらっしゃったので、手元にあるゲーテの色彩論(ちくま学芸文庫版)で調べてみました。

色彩論 (ちくま学芸文庫)

色彩論 (ちくま学芸文庫)

 この本の135〜137ページに、太陽光を見つづけた後の残像が何色になるかの実験が載っています。結果は、残像を見る時の背景によって変わるそうです。

  1. 暗い背景で見ると、残像は黄→赤→青と変わった後消滅。
  2. 明るい背景で見ると、残像は緑→黄と変わった後消滅。

 恐らく「ベッキーの髪の陰」では「2」に近いことが起こっています。黄色の髪を見ると、網膜上では補色である青が励起されます。ここで陰の明度の低い黄色を見ると、網膜上の青が残像となって混色するのですが、隣に明るい黄色の髪があるので「2」のように緑がかるのです。

 とすると、もし元々のベッキーの髪が色相環上反対に位置する青ならば、明度を落とした陰を付けると「1」のように赤味がかるのでしょうか?思い立ったが吉日と、上記サイトさんの図1をグラフィックソフトに取り込んで編集してみましたら、はい、見事に赤味がかりました。(ここに掲載するのはマナー違反だと思いますのでいたしません。)こちらに掲載しました。

 ををすげーや、ゲーテ!200年前にここまでやってたのか!

 という訳で、

  • 補色に近づいた陰の部分は、周囲の色との関係によって赤っぽくも緑っぽくもなる。
  • ただし陰は普通明るい部分に付けるものなので、その場合は緑っぽくなる。

 のですね。いやー知らなかったです。(待て)

 一方、「明度を落とした同色相の色に補色を重ねても灰色に近づくだけでないのは?」という疑問の方ですが、済みません、私には分かりません。加法混色によて灰色に近付いてはいるのですけれども、近付く「だけ」にならず色相がずれる理由は何なのでしょうね。

 まだまだ知らないことがいっぱいです。(笑)

  • 余談

 陰に緑と赤の両方(最終的には紫)を使うイラストレーターさんもいらしゃいます。高野音彦さんや榎宮祐さんが良い例だと思います。下のイメージでは小さ過ぎて分かりにくいですが…。

The Art of OTOHIKO TAKANO 高野音彦画集 river’s end

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山姫アンチメモニクス (電撃文庫)

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