「神様家族」の表紙について考えること

 「神様家族」の表紙はイラストだけでなくデザインもヤスダスズヒトさんがやられているそうですが、いろいろとユニークですね。

神様家族 (MF文庫J)
神様家族〈2〉発育少女 (MF文庫J)
神様家族〈3〉桃色貯金 (MF文庫J)
 
 
 
 
 
 

  • 著者名が小さい

 ライトノベルは元々著者名の表示が小さいものですが、これはとりわけ小さいです。Amazonの標準サイズの書影では著者の桑島由一さんの名前が読めません。4巻以降はタイトルロゴの中に組み込まれているのですが、知っている人でないと著者名が書いてないと思ってしまうほど小さいです。

神様家族〈4〉シャボン玉ホリデー (MF文庫J)
神様家族〈5〉(MF文庫J)
神様家族〈6〉鉄棒工場 (MF文庫J)
 
 
 
 
 
 
 

  • 巻数表示が大きい

 巻を追うごとに巻数が大きくなってきていまして、7巻ではとうとうタイトルロゴの「神様家族」4文字を合わせたよりも大きくなってしまいました。というか、「はてな」は

「7」もタイトルだと勘違いしているみたいです。(直したみたいです。)

  • ベタ塗りとテクスチャ

 色は陰影をほとんど用いずにベタに塗りつぶしています。グラデーションではなく色面と色面の組合せで効果を得ようというのでしょう。*1 3巻以外は背景をキャラと同系統の色でベタ塗りしています。キャラにのみテクスチャ(模様)を掛けているのは、短調になるのを避けるため、キャラと背景に質感の差を付けるためでしょうか。

 こうした表現方法は現実の光景や写真ではあり得ない「絵」でしかできないものです。絵画では「写実的」に対して「表現主義的」と言われる技法です。

  • 限られた色をどう使うか

 色相の使い方は4巻を境にしてかなり変化しています。4巻までは活発的です。2巻や3巻は補色をぶつけていますし、1〜4巻をセットでみると赤→緑→黄→青と色相環上の色を満遍なく使おうとしています。

 4巻以降は赤〜紫〜青の、色相環上で暗さを感じさせる色ばかりに限定されるようになります。また彩度の低い、ほとんど灰色のようなくすんだ色も好んで使っています。それでも、色を区切って使っているのであまり濁った感じがしないのかも知れませんね。モノトーン調でいかに鮮やかさを出そうか試しているような感じです。

*1:ヤズダスズヒトさんは普通に陰影を付けても塗れるのですが、「神様家族」では故意にベタ塗りしているのです。念のため。