読者が登場する?メタライトノベル

星ぼしの荒野から-小説がメタ化すると作者が登場し、ゲームがメタ化するとプレイヤーが登場する?

 とりあえず「読者が犯人」というミステリーは幾つかあるようですよ。具体的なタイトルは存じないのですが。というか知っていてもタイトルを挙げた時点で即ネタバレになってしまいますけれども。

  • 追記

 安眠練炭さんから辻真先さん著「仮題・中学殺人事件」という作品を教えていただきました。

仮題・中学殺人事件 (創元推理文庫)

仮題・中学殺人事件 (創元推理文庫)

 私は読んだことがないのですが

推理小説史上、さまざまな意外な犯人が考え出されてきたが、かつて読者を犯人にした作品があっただろうか。そう、この本の犯人は「きみ」なんです。

Amazon 『仮題・中学殺人事件』出版社/著者からの内容紹介

と公式な紹介で書かれているので、誇大広告でない限り読者が登場するメタフィクションでしょう。


 清涼院流水さんの「みすてりあるキャラねっと」。文庫本に収録された後ではもうほとんど痕跡が残っていませんが、ザ・スニーカー誌連載時は作者⇔読者の双方向性があるものでした。まずストーリー展開とヒロインの案が幾つか出され、それを読者の人気投票で決めていました。


 「小説創るぜ!」は金澤尚子さんの企画によりドラゴンマガジン誌上で読者からストーリー案を募集し、それを元に神坂一さん、秋田禎信さん、賀東招二さん、榊一郎さんが短編に作り直したものです。この時点で読者が介在している訳ですが、賀東招二さんの「機動アントロイドエーネジェント メタルソルジャー」はここからさらにメタ構造を入れていて楽しい作品です。


 鯨晴久さんの「おーぷん・ハート」。これはザ・スニーカー誌に連載されていた大塚英志さんのコラム上で企画・立案・制作された作品で、ストーリー原案と、さらには作者までも読者応募から大塚英志さんが選んでいます。読者参加企画というより一種の新人賞で、途中から「ザ・スニーカーキャラクター小説賞」と呼んでいました。
 コラムの方は「キャラクター小説の作り方」という題で講談社現代新書から出ている

キャラクター小説の作り方

キャラクター小説の作り方

のですが、連載時からは大幅に改訂されているようで「おーぷん・ハート」については何故か書いてありません。私の記憶違いかな?

 あと、恐らく本になっていませんが電撃hp誌上では

  • 装画十番勝負:読者の投稿イラストに倉田英之さんが短編を付ける。
  • チポケットエンジェル:阿智太郎さんが用意したキャラに読者が短編を付ける。

というものもありました。多分他にも沢山あると思います。こうした企画は大抵雑誌上で行なわれる訳ですが、ライトノベル誌の部数は少ないですし、単行本が残っても企画自体は忘れられやすいですし、解説本でもほとんど取り上げられていないのであまり知られていないようですね。