ステバンスのガラス玉
右の絵は19世紀のベルギーの画家アルフレッド・ステバンス(Alfred Stevens)(ステヴァンスと表記する方が一般的でしょうか?)の「ガラス玉(The Glass Ball)」という絵の一部分です。
今週末の「ウィンスロウ美術館」の更新ネタに使いました。
きっかけは下の記事。
透視図法自体はルネサンスの頃からあるけど、視点と画角のコントロールによる表現は、写真とか映画で広まったのかな。
幾何学的遠近法から逸脱した絵画と言うと16世紀のティントレット、17世紀のエル・グレコなどが知られていますね。明確に意識して画角をコントロールしているものとしては16世紀のハンス・ ホルバイン「大使たち」の歪んだ髑髏が有名です。また聖堂の壁画などでは、一つの視点から自然に見えるように端ほど歪ませることがあったようです。
17世紀のカメラ・オブスキュラを使ったフェルメールの絵も現代では光学的な面から語られることが多いですが、フェルメール自身がどこまで意識していたかは不明です。でもフェルメールは顕微鏡学者のレーウェンフックの知り合いでしたから認識はしていたのかな?
19世紀だとアングルやドガがスケール操作をしています。セザンヌもちょっと毛色が違いますが視点の操作をしています。
アングルもドガも写真を知っていましたが、当時カメラに広角レンズや望遠レンズを組み合わせるという発想があったかどうかは存じません。とはいえ眼鏡も望遠鏡も顕微鏡もすでにありましたし、上のステバンスの絵のようにレンズによる光学的効果が意識されていたことは確かですね。
ちなみにドガもステバンスも、マネのバティニョールのアトリエに集まった「バティニョールのグループ」(カフェ・ゲルボア派)なので、多分ドガとステバンスは顔見知りだったでしょう。