口絵コミックはかなり以前からある

荻窪さんはカラーイラストの所で漫画はじめた最初の人(と、私が勝手に認識している。ちなみに一番最初はあちたろう「僕の血を吸わないで」)だけあってビジュアルイメージにこだわりがあるようですし


オタわむれ-“机上の空理空論城”- 白地起源と傾向(序盤戦)
http://d.hatena.ne.jp/hanhans/20060921/p4

 ちょっと上の箇所に疑問がわいて古本屋でざざっと調べてみたのですが、ライトノベルの口絵にコミックを載せる手法はかなり前からあるようです。

 電撃文庫では「ソーサラー狩り 爆れつハンター」シリーズが恐らく最初ではないかと思います。臣士れいさんのコミックが口絵に載っています。

 1993年8月というと電撃文庫の第2回配本です。電撃のごく初期から口絵コミックはあったのです。となると電撃文庫ができる前から口絵コミックがあったとしても不思議ではありません。特に電撃文庫角川騒動スニーカー文庫から分かれて出来たようなものですから、電撃以前にスニーカー文庫に口絵コミックがあった可能性は高いです。

 という訳でスニーカー文庫を調べてみると

騒動後ではありますが、電撃文庫創刊前に「日帰りクエスト」の1巻口絵で鈴木雅久さんのコミックがありました。吹き出し(テキストバルーン)がないので100%コミックとは言えないかも知れませんがコミック風にコマ割りしてあります。

 このコミック風のコマ割りを鈴木雅久さんはかなり多用していまして、スニーカー文庫ファンタジア文庫の幾つかのシリーズの口絵で確認できます。ファンタジア文庫では

1989年7月刊の「<爆裂お嬢> シンディ・スー II 熱いハートに危機一髪!」で早くもコミック風のコマ割り口絵が見られます。鈴木雅久さんはそれ以前にもソノラマ文庫で「ARIEL」のイラストも担当しているので、ひょっとするとソノラマ文庫でもこうした口絵が見られたのかも知れません。

 これとは別に、1987年8月刊の大原まり子さん著「処女少女マンガ家の念力」シリーズ2巻「青海豹の魔法の日曜日」

青海豹(ブルーシール)の魔法の日曜日 (角川文庫)

青海豹(ブルーシール)の魔法の日曜日 (角川文庫)

にも普通(?)の角川文庫なのにカラーの口絵があって、岡崎京子さんのコミックが載っています。



「青海豹の魔法の日曜日」の口絵の岡崎京子さんのコミック

 ライトノベルの「口絵コミック」がどこから来たのか、今の時点では資料が少なすぎて分かりませんが、少なくとも1980年代終わりには文庫の口絵にコミックを載せるのはそれほど奇抜なことではなくなっていたようです。