「僕僕先生」のあまりまともでない感想
- 作者: 仁木英之
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/11/21
- メディア: 単行本
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「僕僕先生」の感想。ネタバレありです。
- 感想α
もしこの作品の世界観が現実のものとなったなら、ヘタレニートをあしらうボクっ娘戦闘美少女になることを志して神仙の道を究めるオタク男子が大挙出現するのではないかと思います。
- 感想β
上の感想αはフィクションです。実在の私の考えとは恐らく関係ありません。
で、幾分まじめに書きます。この作品は歴史上における文明と自然の力関係の変化を描いていると解釈してみます。つまり
-
- 神仙=自然
- 人間=文明
であると見なします。序盤では明らかに神仙=自然の方が文明に対して優位にあります。
しかし終盤、下界の人間たちが神仙の力に頼らずにイナゴを撃退します。この時、文明に対する自然の優位は崩れるのです*1。僕僕に落ち着きがなくなるのは、神仙の一員として「文明に対する優位が崩れること=王弁に対する優位が崩れること」に動揺しているからではないでしょうか。そして動揺を隠すために王弁を連れて飛び回っているように見えます。
一方の王弁は、彼はもちろん人間の一員なのですが、文明が自然に対抗できることを目の当たりにしながらも、文明に積極的に加勢して自然を支配しようとはしません。むしろ神仙=自然と共存する道を選択し、文明が急速に自然を破壊することを抑えようとしているように見えるのです。
つまりこの作品は史実および僕僕と王弁の関係の変化を通しておおまかに「文明がどんどん力を付けて、ついには自然を上回るようになっても、自然と敵対するのではなく共存していくべきなんだよ」と言っていると解釈できるのではないでしょうか。ちょっと安直過ぎますかね?
- 感想γ