GOSICKII読後備忘録

GOSICK II」読了。

 ドイツ語版も出てきたので貼っておきましょう。

Gosick 02: Verbrechen ohne Namen

Gosick 02: Verbrechen ohne Namen

 このテーマは「赤朽葉家の伝説」で急に出てきた訳ではなくて、2004年の時点ですでにあったんですね。この数ヵ月後に「推定少女」で始まる地方都市シリーズも、多分このテーマが下敷きにあります。

  • 母親が残した謎を娘が解く

「赤朽葉家」で繰り返される構図。
 またヴィクトリカの場合、事件で謎が残らなければ自分が産まれていない訳で、謎を解くことで「自分とは何者なのか」という課題に向き合うことになります。これはヴィクトリカにとって通らなければ行けない道、通過儀礼譚なのです。
 ヴィクトリカは恐らく「成長する探偵」でありましょう。背は伸びないかも知れないけど。

  • 夜空に満天の星

かわりに夜空が――満天の星が輝く夜空が、視界いっぱいに広がった。

桜庭一樹GOSICK II」353ページ

「AD2015 隔離都市」「Girl's Guard」「赤朽葉家の伝説」にも出てくるフレーズ。私の頭の中で大都市と地方都市とソヴュールの空がつながりました。

 長編+短編の富士見フォーマットをうまく使っています。

  • 全体に思うこと
    • ついヴィクトリカや久城一弥といったキャラクターに目が行ってしまいますが、物語の構造やテーマでは地方都市シリーズや「赤朽葉家」と共通するものが見られます。この作品をキャラ萌えだけで読むのはもったいないです。