桜庭一樹、最初期の傑作が角川文庫に登場!!

 嘘ではありません(真実のすべてでもありませんが)。この「竹田くんの恋人」は桜庭一樹さんが出した最初の角川文庫なんですよ。ほら、ちゃんと書いてある。

 という訳で実現しました。みさくらなんこつさんのイラスト×直木賞帯。実に素晴らしいですね。既存の価値観が吹き飛びます。

 いや、個人的にはマジでこの「竹田くんの恋人」、次のような点で作家桜庭一樹を研究したい人にはお薦めだと思います。

  • 「少女が閉塞した状況から大都会へとでてくる」モチーフが登場するのは、私の知る限り、この作品が初めて
  • 桜庭作品に繰り返し用いられる次のような要素も入っている。
    • マッチョ男
    • 「女の子×女の子(赤×ピンク)」の関係
    • 「少女」の虚構性
    • 守護天使(ガーディアン)
    • ぼろアパートに潜伏

 これらが結果的に作品にプラスとして作用しているかどうかは甚だ怪しいのですが、だからと言って世間様で評価されている作品ばかり読んでも気付かないことは多いと思うのであります。「作家桜庭一樹」は「赤×ピンク」の前と後で何が変わり、何が変わらなかったのか。それを知るのに「竹田くんの恋人」は実に適した作品ではないでしょうか。

赤×ピンク (角川文庫)

赤×ピンク (角川文庫)

 誰かにわたしを探してほしいような気がしました。「なんだ、ここにいたのかよー」って。


桜庭一樹「竹田くんの恋人」あとがき(P284)より