「学校を出よう!」の舞台モデルはここまで分かっている(あるいは、これしか分かっていない)

 谷川流さん著「学校を出よう!」の新作が雑誌に掲載されるということで、「学校を出よう!」への関心が少々高まってきております。少なくともここに「学校を出よう!」の検索キーワードでいらっしゃる方は増えております。そこでこれを機に「学校を出よう!」について色々書こうと思っているのですが、到底すべてを実行に移す気力が無いので、とりあえず一番書きたい「学校を出よう!」の舞台モデルについてメモ書きします。

 谷川流さんの作品というと、やはり「涼宮ハルヒ」シリーズが圧倒的な知名度があります。そしていわゆる「聖地巡礼」「舞台探訪」に興味がある方なら、「ハルヒ」の舞台の大半が兵庫県西宮市南部の実在の場所をモデルにしていることをご存知でありましょう。しかしながら谷川流作品の中で西宮を舞台モデルにしているのは「ハルヒ」だけではないのであります。実のところ私も最初は全く気付かなかったのでありますが、多くの方と情報交換しているうちにどうやら「ハルヒ」以外にも西宮を舞台モデルにしている谷川流作品は幾つかあり、とりわけ「学校を出よう!」シリーズは「ハルヒ」に匹敵する規模の「聖地」を隠し持っている可能性があることが分かってきました。

  • ただし舞台モデルを特定するのは難しい

 ただし思わせぶりな地名が登場し、現地ロケを元にした背景を使ったTVアニメもある「ハルヒ」と違い、地名がほとんど登場せず、ヒントとなりそうな映像がない「学校を出よう!」は、舞台モデルを探すのが難しいです。仮に作中の描写と似ている実在の場所を見つけ出してきても、誰もが納得する客観的な証拠をそろえるのは極めて困難です。

 また登場する場所すべてにモデルがあるとも限りません。というか何割かは全くの架空の場所であると考えるのが妥当でありましょう。そうした架空の場所のモデルを延々と探し回るという無駄な行為*1をしてしまうリスクが常にあります。

  • 私1人で集めた情報ではない

 そうした難しい条件の中で、それでも「控えめに見ても、谷川流さんが意図的にモデルとした場所と考えるのが自然だろう」という実在の場所が見つかっていますので、それらを列挙いたします。

 なお、私が見つけてきたのは1/3程度で、残りの2/3は他の方々が提唱された説を私なりに再考したものです。特に2巻の舞台に芦屋と尼崎をあてがう説を披露された匿名掲示板の方、「第三EMPと北高は同じ場所がモデルみたいです」という鋭い洞察をされた読書好きの青年さん、4巻冒頭シーン等に関して多くの情報を下さっているkiyomon229さんに感謝いたします。

  • 第三EMP学園
    • 敷地・寮⇒関西学院大学上ヶ原キャンパス
      • 可能性:中
      • 根拠
        • 寮の配置が似ている。
        • 敷地内に作中の描写同様、中学・高校・大学がある。
        • 谷川流さんの母校である。
        • 学校を出よう!」の原形となる作品(未発表)の題名が「上ヶ原ひみつ委員会」である。
    • 校舎⇒兵庫県立西宮北高等学校(谷川流さん在学時)
      • 可能性:確定的
      • 根拠
        • 校舎、講堂、食堂、渡り廊下、通用門の配置が1985年撮影の航空写真に写っている西宮北高と一致する。
        • 谷川流さんの母校である。
    • 立地⇒西宮市山口町船坂地区の大平山・船坂無線中継所
      • 可能性:確定的
      • 根拠
        • 通用門の配置、通用門に通じる車道、正門に通じる登山道が作中の描写と一致。
        • 西宮北高の行事(六甲縦走)の一環で登らされる山であり、谷川流さんもサボっていない限り登った経験があるはず。
  • 1巻
    • 高崎佳由季と春奈が第三EMP学園から下るルート⇒大平山から西宮市街までの兵庫県道82号と夙川公園
      • 可能性:確定的
      • 根拠
        • ルート各所と描写が一致する場所をほぼ特定できる。すなわち、
          • P109⇒県道82号の大谷乗越。
          • P112〜122⇒鷲林寺付近の畑。
          • P124⇒北山緑化植物園前信号。
          • P126⇒夙川に架かる苦楽園口橋もしくは大井出橋。
          • P135〜P140⇒夙川公園
          • P140⇒国道2号夙川橋交差点。
      • 参考:「学校を出よう!」の舞台モデル候補地をいくつか
    • P170、P191に描写されている「国道」⇒国道2号
      • 可能性:中
      • 根拠
        • 国道2号以外に作中の描写に該当する道路が周辺にない。
  • 2巻
    • 神田健一郎の家⇒西宮市上ヶ原八番町付近
      • 可能性:確定的
      • 根拠
        • P14で「八番町」と書かれている。
        • 学校を出よう!」の原形となる作品(未発表)の題名が「上ヶ原ひみつ委員会」である。
        • この他にも決定的な証拠があるのですが、禁則事項です。
    • P53、P176の駅⇒西宮北口駅
      • 可能性:確定的
      • 根拠
        • 待ち合わせ場所、電車の描写が一致。
    • P223の駅⇒三宮駅
      • 可能性:大
      • 根拠
        • 三宮以外に駅および地形・町並みの描写に該当する場所が周辺にない。
  • 4巻
    • 高崎春奈の墓⇒満池谷墓地もしくは西宮震災記念碑公園
      • 可能性:中
      • 根拠
        • 植生・地形が似ている。ただし偶然かも知れない。
    • P160で仲嶋数花が南下する国道⇒国道171号の西宮市城ヶ堀付近
      • 可能性:中
      • 根拠
        • ここ以外に地形の描写に該当する場所が周辺にない。
  • 未だ、道半ば

 この他にも妄想レベルで考えている舞台モデルは多数あります。特に1巻中盤や4巻終盤の電車で移動する場面は「谷川流さんの0からの発想」よりは「阪神間の実在の鉄道を乗り継いだ経験」によって書かれているような気がしてならないのですが、現時点では説得力に乏しいので省略いたします。

*1:そもそも舞台モデル探しそのものが無駄な行為であるという説も有力ではありますが、この際、スルーしてください。