京フェス「リアル・フィクションとは何か?」レポ

giolum2005-10-12


 書きたいネタが山積みなのですが、1つ1つ順番に書いていきましょう。まずは10/8に開催された「京都SFフェスティバル2005」の本会企画「リアル・フィクションとは何か?」のレポートです。

驚きのオープニング

 司会は三村美衣さん。出演は桜坂洋さん、新城カズマさん、塩澤SFマガジン編集長……のはずであった。

 私は前のコマから会場に入っていたのですが、三村美衣さんが会場に出たり入ったりなんだかドタバタしています。

 前のコマが終了して、私は良い席を取ろうと前方に移動。するとどうも「新城カズマさんの到着が遅れている」という情報が飛び交っています。もう企画開始まで時間がありません。どうするのかと思いきやなんと三村美衣さんが桜庭一樹さんを連れてきて「替え玉」と言って新城カズマさんの席に座らせてしまいます。

 思わぬ展開に驚き半分、喜び半分の会場。塩澤編集長と桜坂洋さんが笑っています。桜庭一樹さんは「あの、ここに居て良いんでしょうか?」という顔で落ち着かない様子。というかこれってSF大会の「サクラ対戦」の再現ですか!?

 と、そこへ新城カズマさんが文字通り掛けこんできます。桜庭さんが座っているのを見ると新城カズマさんは開口一番

 「どうも、桜庭と申します!」

 会場爆笑。

 そして席が1つ追加され、左から塩澤編集長、桜坂洋さん、桜庭一樹さん、新城カズマさん、三村美衣さんの順に座って企画スタート。いや、まさかこんな豪華な企画になるとは。

リアル・フィクションとはなんぞや

 企画は塩澤編集長がボケ役、三村美衣さんがツッコミ役、間の桜坂さん、桜庭さん、新城さんが証人という様な感じで進行。メインの話題である「リアル・フィクションとは何か?」という三村美衣さんの問い掛けに新城さん、桜坂さん、桜庭さんがそれぞれの考えを語るのですが、「リアル・フィクション」の仕掛け人である塩澤編集長は「キャッチコピーのつもりでした」と回答。をいをいをい。

 ちなみに新城さん曰く「『サマー/タイム/トラベラー』はSFのつもり」で「『リアル・フィクション』とは聞いていませんでした」

 桜坂さん曰く「『スラムオンライン』は『リアル・フィクション』を意識」し「現在の現実の視点からサイバーパンクを書いてみたかった」

 桜庭さん曰く「『ブルースカイ』は『リアル・フィクション』を意識」し「現実(リアル)か虚構(フィクション)かはっきりオチをつけることは重要じゃない」

リアル・フィクションは概ね青春小説らしい

 次に三村美衣さんが「『リアル・フィクション』は青春小説か?」という問いを出し、新城さん、桜坂さん、桜庭さんとも「青春小説を意識しています」と回答。

 新城さん曰く「登場人物にSFとは何かを意識させています」「SFの『棚卸』をしたい、これまでのSFのアイデアを再検討したいです」「今、SFを書くとしたら何をすれば良いのだろうと考えています」

 さらに三村美衣さんが「(虚構よりも)現実の方が揺らいできてしまったら、パラダイム・シフトやセンス・オブ・ワンダーをどう建てれば良いのか?」と提起。

 桜庭さん曰く「心情をリアルに書こうとするとき、SFにするとむしろ上手くいくのではないか」

 ここでおもむろに塩澤編集長が「話を聞いていて、だんだん分かってきました」と凄い発言。会場にどよめき。

 すかさず桜坂さんが「リアルタイムに決める編集長です」とツッコミフォロー。

リアル・フィクションはマルチエンド

 この辺りから誰ともなく「ゲームは小説にどう影響を与えているか」という話題に。

 桜坂さん曰く「ギャルゲー的シナリオやマルチエンドが読者に受け入れられるようになっています」

 桜庭さん曰く「マルチエンドを全て含めて1つの話を作りたい」「それがゲーム的にとらえられるかも知れません」

 新城さん曰く「小説として書いていても読者はゲームとして受け取っています」

 ここで桜坂洋さんが実にSFらしい名言。

 「『線』だった小説が、量子的に拡散しています」

 新城さん曰く「現実がゲームで揺らいでいるとは思いません」としつつも「現実の質が落ちている気はします」

 桜庭さん曰く「現実に反発していると、現実が揺らいでいるように見えるのかも知れません」

 桜坂さん曰く「それぞれが抱いているリアル・フィクションがある」「リアル・フィクションはマルチエンドなんです」

 三村美衣さんが「巧くまとめてもらいました」と締め。

 塩澤編集長は1人黙々とメモ。

「ブルースカイ」の装丁裏話

ブルースカイ (ハヤカワ文庫 JA)

ブルースカイ (ハヤカワ文庫 JA)

 最後の質疑応答で、「ブルースカイ」の装丁はなぜ真っ青になったのかという質問が出ました。 塩澤編集長曰く「最初は青い空に白い雲の予定でした」とのこと。ところが直前に刊行された東京創元社の「少女には向かない職業

少女には向かない職業 (ミステリ・フロンティア)

少女には向かない職業 (ミステリ・フロンティア)

にもろに被ることが分かって急遽変更したのだそうです。ちなみに「少女には向かない職業」と「ブルースカイ」は装丁デザイン同じ人です。

しかし

 レポートというよりメモですね、これは。分かりにくいですし、抜けている内容も沢山ありますのであしからず。そもそもSFの素人である私が書いて良かったのかな。(汗)