2005-01-01から1年間の記事一覧

シリーズとしての行き詰まりを和らげる普遍性

ライトノベルと呼ばれる作品群はシリーズものが多いですが、そのシリーズものの中で行き詰まってしまうものが少なくありません。よくあるように思えるのが、シリーズとして重要な局面に至ったところで話の進行が足踏みしてしまうパターンですね。新刊は刊行…

作品性…ですか

blackrainさんの「ライトノベル短編論」http://d.hatena.ne.jp/blackrain/20051030#p4を読んで思ったこと。 桜坂洋さんがSF大会の「サクラ対戦」で「ライトノベルの幅が広がって、シリーズ以外で書きたいものが書けるようになった」と言われていたんですよね…

ノンシリーズ短編集を増やす方法は、なくはない

ライトノベルにノンシリーズ短編集が少ないという話題があちこちで取り上げられているので、電撃hpでノンシリーズ短編を2作以上発表されている作家さんとその作品をリストアップしてみました。(全部読んで内容をチェックしている訳ではないので、シリーズ…

ブギーポップとキノとドクロちゃん

「ライトノベル完全読本 Vol.3」ライトノベル完全読本 vol.3 (日経BPムック)作者: 日経キャラクターズ!出版社/メーカー: 日経BP社発売日: 2005/11/10メディア: ムック クリック: 18,994回この商品を含むブログ (43件) を見るの表紙の少女がなにか本を持って…

ライトノベル作家に明日はある?ない?

ryou-akiyamaさんの「ラノベ作家の離職率(なんかこの言い方もアレだが)についての一考。」http://d.hatena.ne.jp/ryou-akiyama/20051030#p1が面白いです。「ライトノベル作家は多産多死」というのは思いこみに過ぎないのではないか?と疑問を持たれ、少な…

SOS団は「ライトノベル」を書かない―言及しないことによって言及するメタ・フィクション

ザ・スニーカーに掲載された涼宮ハルヒシリーズの意味深な中編「編集長★一直線」についての勝手な深読みです。ネタバレありです。(って現時点で読める人はほとんどいないじゃないか…)

時をかける少年少女

海燕さん曰く、 ふと思いついたこと。「サマー/タイム/トラベラー」の主人公たちのグループは、「涼宮ハルヒ」シリーズのSOS団に似ている気がする。 どう似ていると感じられているのか是非お聞きしたいところ。単に時間跳躍ネタを扱っているからとか言…

執筆快調!涼宮ハルヒ「編集長★一直線」

谷川流さんの「涼宮ハルヒ」シリーズの中編「編集長★一直線」が完結しました。角川ザ・スニーカー誌に今年の6月号、8月号、10月号と掲載され、10/30発売の12月号でやっと終わった、連載分では今までで一番長い話です。 ネタばれしない程度の簡単なあらすじ…

基礎データとして電子目録があったら研究が進むのに

玲朧月さんが面白い調査をされています。富士見ファンタジア作家の目録掲載率 http://d.hatena.ne.jp/reyoborozuki/20051023#1130069837 こういうことがもっと簡単に調べられるようにライトノベルレーベルの電子目録が欲しいんですよね。私もとある文庫の禁…

「天国に涙はいらない」のサブタイトルの元ネタ

近松門左衛門について調べていて(なんでやねん)、「雪女五枚羽子板」という作品名を見つけました。あ、これが天国に涙はいらない〈5〉逝き女五枚羽子板 (電撃文庫)の元ネタなのかと気付いたのですが、「逝き女五枚羽子板」のあとがきを見たら、ちゃんと解…

こんな夢を見た

自室に移動式の書架があって、お気に入りの本や雑誌が整然と並んでいます。雑誌の棚は背が高く、保管しにくい大きなドラゴンマガジンもきっちり入ります。もちろん電撃hpは創刊号から最新号まで順番に並んでいます。ザ・スニーカーは同じ大きさの電撃hpSPECI…

メイドロボは電気執事の夢を見るか

最近とみに不安を感じていることがあります。それはライトな小説のことではなく、「マッドサイエンティスト・カフェ」の行く末であります。 「マッドサイエンティスト・カフェ」とは白衣を着たマッドな博士やメイドロボや電気執事が至れり尽せりあれやこれや…

角川の新書ライトノベルの流れ

のべるのぶろぐさんの『「越境」するライトノベル:第一章』 http://novel.no-blog.jp/minkan/2005/10/post_884b.html ですが、イマイチ私にはピンとこないです…いえ、こうした話題を出されること自体は大いにやって頂きたい訳ですが。(別にのべるのぶろぐ…

その昔、ファンタジーブームというものがあった

なんだかあちらこちらで「ライトノベルブーム」はどうなるのかということが語られておりますが、私は流行が苦手なのでちょっと古い話をいたします。年寄りの思い出話につきあうと思って聞いてくださいませ。 ネット上では最近「ライトノベル」という呼び方が…

ポケット文庫のミステリー

京フェス後のオフでちらっと話題になったのですが、10月創刊のポプラ社ポケット文庫でちょっと変わったことが起きています。ポケット文庫内には国内ミステリーのシリーズがあるようで、第1回配本は「名探偵金田一耕助」シリーズの「仮面城」と「名探偵神津…

「読みやすさ」というものが測れたら良いのに

海外で出版されている翻訳ライトノベルは左右どちらに挿絵があるのでしょう? コミックのレイアウトについて調べていて、凄いサイトを見つけてしまいました。多分有名だと思います。ネギま!で読む「ネームの文法」 http://t3303.harisen.jp/negima_log06.ht…

ライトノベルの挿絵はコミックの「見せゴマ」的にレイアウトされているのでは

思いつきの域を出ないのですが、ライトノベルの本文中の挿絵は、コミックの「見せゴマ」と同じ手法で置かれているのではないか、などと考えました。 「見せゴマ」というのは、コミックの中で「読者に見てもらうよう描かれているコマ」のことです。「え?コミ…

当って砕けて後悔なし

久しぶりにイラストを描きました。といっても二次創作ですが。碧い瞳の中の義憤の205000ヒット記念イラストです。 人様のイラストに講釈たれるより、自分で描いてみることだ!ということで主観的な色使いに挑戦。以前にもこうした色使いを試したことは…

今度こそ更新頻度を下げます

1ヶ月前に自転車操業はしないと言っておきながら、ものの見事に自転車操業をしてしまっていることを反省しまして、今度こそ更新頻度を下げます。 竜人館http://www.bekkoame.ne.jp/i/ureshino/giolum/ の方でライトノベル系のファンサイトやらデータベース…

ぼくたちには色彩が足りない 色に関するLesson8 主観的な色使い

主観的な色使いとは端的に言いますと ありえねー!でも、OKー!な色使いのことです。ちょっと前ならば若菜等+Kiさん、最近では高野音彦さんなどが主観的な色使いをしています。スニーカー文庫版「愚者のエンドロール」の表紙イラストを例に説明いたしまし…

鶴屋山征服

「涼宮ハルヒの陰謀」涼宮ハルヒの陰謀 (角川スニーカー文庫)作者: 谷川流,いとうのいぢ出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2005/08/31メディア: 文庫購入: 13人 クリック: 70回この商品を含むブログ (620件) を見るに登場する「鶴屋山」のモデルと推測される…

「シャナの法則」は幻か

電撃文庫の公式サイトで11月刊の「灼眼のシャナXI」の表紙が発表されているのですが、私はこの表紙を見て愕然としました。ヒロインのシャナの髪が黒だったからです。 「灼眼のシャナ」シリーズを揃えられている方は、表紙を並べてシャナの髪の色を見て下さい…

単眼鏡の奥に潜む知性についての研究

白翁さんのお題。http://d.hatena.ne.jp/hakuoh/20051013#1129182565 モノクル(単眼鏡)はメガネッコに含まれますか? 含まれるんじゃないでしょうか。多分。専門家の方に伺ってみないと正確なところは分かりませんが。 しかしモノクルなキャラってそんなに…

より普遍的な

玲朧月さんが書かれていることに反応。 次の言葉には結構考えさせられるところがあります。 「時代を超えて残るのは本物だけだ」 ブームが過ぎようとも業界が壊れようとも本当に面白い作品は後に残るに違いない。 「本物」という言葉に語弊があるとするなら…

ぼくたちには色彩が足りない 色に関するIntermission2 足りない色は果たして?

さる9/29に、私はこう書きました。http://d.hatena.ne.jp/giolum/20050929#1127924090 「野菜」の既刊3冊も、意図的に色を選んでいるのではないかと思います。 10月刊行予定の最終巻の表紙を私はまだ知らないのですが、バランスから考えると恐らく緑でまと…

桜野扇子

「悲喜劇名詞」の白翁さんがこんなことを書かれています。http://cereza.ddo.jp/archer/diary/?date=20051014 銀盤カレイドスコープ五巻のタズサの行動を全てトレースしようと頑張ったものの、途中購入するべき扇子が五万円と非常にイクスペンシブな価格をし…

京フェス拾遺話

徒然なるままに。 元さん@コンバンハチキンカレーヨ再は熱い方でした。「ジュブナイルポルノ講座」も白熱しましたが、徹夜中も熱かったです。私がネタとして「ラノパ」のマスコットキャラのラフを10枚ほど出したら(右の絵はその1枚)、「これをジュブナイ…

実に電撃文庫っぽくない電撃文庫

電撃文庫の11月刊、雨宮諒さんの「夏月の海に囁く呪文」 http://www.mediaworks.co.jp/users_s/d_hp/new/next.php#11 は一見電撃文庫に見えません(笑)。これも「ライトノベル」の既成概念を壊そうという電撃の方針の一環なのでありましょう。 ちなみに、コ…

青空

ブルースカイ (ハヤカワ文庫 JA)作者: 桜庭一樹出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2005/10/07メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 57回この商品を含むブログ (265件) を見る 桜庭一樹さんの「ブルースカイ」、読了。感想はまず本体の「読了記」に書きました。…

京フェス「リアル・フィクションとは何か?」レポ

書きたいネタが山積みなのですが、1つ1つ順番に書いていきましょう。まずは10/8に開催された「京都SFフェスティバル2005」の本会企画「リアル・フィクションとは何か?」のレポートです。 驚きのオープニング 司会は三村美衣さん。出演は桜坂洋さん、新城…